Vol.01 | ビストロオーナー・料理長

「人生を120%ポジティブに生きる姿勢がなりたい自分を作り出す」谷 祐二 (前編)

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“モットーは、思考よりも行動”

料理人になったキッカケは、安直ですがずっと社長になりたいという目標を持っていて、それを叶えるには、飲食業が早いと思っていたからなんです。あとは小さい頃から家でお袋の料理を手伝ったりしていたから、その影響もあったかもしれないですね。

ただ料理人になるまでは、けっこう遠回りをしてきましたね。そもそも最初の社会人は、高校卒業後に入社した京都西川の営業マンで、飲食とは全く関係もなかったので。そこでスーツを着ながらブライダルの布団を売ってました。自分で言うのもあれだけど、まあまあ売り上げを作っていたデキるセールマンだったと思います。(笑)

 

“前例や常識がない、だからこそやりたくなるしそこに意味がある”

そこを4年勤め、21歳のときに退社し、社長になりたいという目標を実現するために、料理人を目指し始めます。とはいっても料理経験もなく、専門の学校もでていないかったので、当たり前ですが料理人になるための工程を全く知りませんでした。

 

だから直ぐにできることとして、取り敢えず自分が好きなお店に片っぱしから電話を掛けて、働かせてもらえないか交渉してみたんです。当然ダメでしたけどね。で、結局行き着いたのが仕出しの弁当屋でした。
しかも配達。(笑)

それをこなしながらカフェのバイトを掛け持ちし、そこでようやく料理を体験。

と言っても料理の担当は任されなかったので、食材を自分で買っては夜な夜なレシピ本見ながら、肉のワイン煮込みを作ったり、魚を捌いたり、独学で料理を作っていました。店長に食べてもらったら見事にマズイって言われましたが、、。
だけどキャリアがない僕が上手くなるには、絶えず行動するしかないんですよね。そういった失敗もポジティブに捉え、“止まらず”に行動することが目標を叶える一歩だと信じています。

 

“味の決め手は人間力“

カフェで数年仕事をしていると、楽しい反面、次第に物足りなさも感じてきていました。もっと本格的な料理がしたい。そこで意を決し京都の老舗フレンチレストラン『ベルクール』 にまた得意の電話をして交渉してみたんです。(笑)

そしたら人手も足りないこともあって、運良く採用してくれて。ただ、6、7年働いた内、3年半ぐらいサービスをやらされていましたね。シェフをやりたくて入ったのに。(笑)

でもその経験は、今思うとスゴく勉強になりましたね。中でも、一番厳しく教わったのが料理を出すタイミング。サービスは、お客様の様子を完璧に把握してなければいけないんです。それがテーブルに100% の責任を持つことだと教わり

ました。そんなお客さんを見るということが、今僕の料理作りにおいて根幹にもなっています。

 

お客さんを見て、話して、味の好みや気分を感じ取る。僕はそれを料理にするんです。人を本当の意味で満足させる料理は、人と向き合ってこそできるんだと、この経験があったから分かったことだと思います。

 

“変われど、変わらないものを持ち続ける“

 

レストランの後には今のお店の元となる『現株式会社ウェルカム』 に入社し、“アスクアジラフ” というお店を立ち上げたり、東京に店舗を拡大したり、お店のマネージメントを覚えたりと、たくさんのことを経験させてもらいました。

当時はカフェブームも相まって、出店したお店も繁盛し、人生で一番忙しい時期でもあったと思います。ただその反面、料理という料理を作ることもできず、お店を回すという日々が3年ほど続いていましたね。
それももちろん大事なことなのですが、“作業をこなす” といった質のない働き方に嫌気がさしてきて、少し自分を見つめ直したいと思う時期でもありましたね。

 

自分を振り返ったとき、社長になりたいという夢は変わらずに抱いていたので、現場ではなく経営という目線で仕事を見つめ直し、“レストランター” というレストランを作るディレクターという方向にシフトを転換。そうして作ったお店の一つが、『HOUSE』 なんです。ココット料理を提供するといった企画が話題にもなり、いい形でお店も作れ、社長になるという意味でもまた一歩前進できたという満足感もありましたね。

 

 

–社長になる夢へと一歩前進した谷氏。経営者という目線から飲食業界をどのように捉え、どのように表現していくのか。“レストランター”としての活動から垣間見えた谷氏の「働きかた」について、詳しく伺いたいと思います。

 

 

谷 祐二
ビストロオーナー・料理長
フランス製の鋳物鍋“staub” を使用したネオビストロ店「HOUSE」。食材の力を存分に引き出しながら、確かなフレンチの技術をベースに、調味料は使わずに食材の組合せだけでシンプルに仕上げるホ−ミ−な料理を提供する人気店。そのオーナー兼料理長を務めるのが谷 祐二さん。彼のこれまでのキャリアを振り返りながら、そこから開ける「働きかた」について伺った。