Vol.01 | ビストロオーナー・料理長

「“食づくり”に専念できる、新しい働きかた」谷 祐二 (後編)

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“自分『味』を確立すること、それが仕事を楽しくする”

オープン当時こそ話題になったのですが、当然のごとく次第に人気に陰りが見えてきました。そんな『HOUSE』 を再建するため、僕はシェフという立場で再び現場に戻ることに。そのとき改めて人は“どんな料理を提供したら来てくれるのか” ということを考えましたね。

とにかく時間がある限り、毎日必死に料理のことだけを考え続け、ようやく自分が美味しいと思える料理をイメージできるようになったとき、自分の人生がグッと固まった気がしたんです。誰しもが人生においてターニングポイントを迎えるタイミングがあると思うのですが、僕は自分のイメージする料理を作れた瞬間がまさにそうでした。それが出来たとき、お店には自然と人が集まり、今までにない人との繋がりも持てるようにもなりました。

数年前までは、現場に入らずビジネスマンをやっていた自分でしたが、それを含め、色々な経験したからこそ、改めて料理人として美味しいものを作ることが出来ました。そして、それこそが自分のスタイルだと気付きましたね。

 

 

“衣食住にオーダースーツという選択肢”

普段はまったくスーツを着ることがないんです。というのも自分に似合うスーツっていうのがあまりなくて。デザイン性はもちろんなのですが、いかんせん自分の職業は料理人であり、火に触れる、油で汚れる、移動も自転車が多いなどという生活スタイルから、そもそも洋服にスーツという選択肢がなくて。でも、本当は年齢も30代後半になったこともあって、スーツを着たいという気持ちはずっとあったんです。

そんなときに話をいただいたので、この悩みを早速FABRIC TOKYOさんに相談したところ、「オーダーメイドならそんな日々にも合うスーツが作れます」 って言ってくれて。「本当ですか!?」 って思わず聞き返しましたけどね。(笑)

仕立てたスーツを着てみたとき、まずそのフィット感にビックリしました。オーダーメイド ってこういうことかと。自分は肩幅が広いので、既製服でなかなかピッタリするものが少なかったので。まだ試せてはいないですが、油で汚れても気軽に洗えるみたいなので、楽しみです。

スーツにこれほどの自由度があるってことには感動しましたね。オーダーメイド ってデザインの一種だと思っていましたけど、その個人の生活にまで寄り添ってくれるものなんですね。本当に素敵です。一生モノにさせていただきます。

 

“新しい会社の形態を作ることに、未来の働きかたを見出す“

現在『HOUSE』 は自分のお店として経営し、社長というものをようやく実現しました。ただ、それはそれで今度は会社を作っていくという新しい仕事の始まり。とはいえ僕は人を育てることはおこがましいと思っている質なので、“みんなで育とうよ” っていうのを基本にしています。だから良い意味でも悪い意味でも自由な会社ですね。聞かれたことには全て答えるし、挑戦したいことや不満があれば全部受け入れるつもり。
ただその後、“形にするのは自分次第” とスタッフには言っています。その一つの表現として、うちの会社はスタッフみんなを『業務委託契約』 にしています。

みんなゆくゆくは、自分のお店を持つために頑張っているわけですから。ただ雇われているという意識では、気づかないことってたくさんあるはずなので。

“全員が能動的に働ける環境” が理想ですね。だから出勤時間さえ決めていないです。仕事さえこなせば何してもいいと思っていますから。仕事を楽しみながら、自由にやりたいようにやればいい。自分がそうしてきたからみんなにもそうであって欲しいですね。

 

“飽きたらない好奇心こそ、仕事を発展させるスパイス”

今後は海外の進出を考えています。自分のクリエイティブを世界で認知してもらうことが目標です。それができれば、更に自分らしい料理をルールに縛られずに楽しく自由に振る舞うことが可能になる思っているので。あとはまだまだ先の話になるかと思いますが、小さいながらも今の会社をホールディングスとして展開していけたらいいなと。今働いているスタッフが独立したら傘下に入ってもらって。(笑) そんな会社にしていければ素晴らしいですよね。

“120%ポジティブでいることが、いい仕事に”

自由に楽しく働くために“自分がどう動けるか” だけかなと思っています。そのためにはありきたりですが、どんなことにおいても120% ポジティブ に捉えること。悪いことがあったとしても、良いイメージに書き換えてしまうぐらいの前向きな気持ちを持ち続けること。そして、そのイメージを具現化するための行動に対して、勇気を持って一歩踏み出すこと。

そうすれば、きっと“自分だけの働きかた”  というものが見つかるのだと思います。

 

谷 祐二
ビストロオーナー・料理長
フランス製の鋳物鍋“staub” を使用したネオビストロ店「HOUSE」。食材の力を存分に引き出しながら、確かなフレンチの技術をベースに、調味料は使わずに食材の組合せだけでシンプルに仕上げるホ−ミ−な料理を提供する人気店。そのオーナー兼料理長を務めるのが谷 祐二さん。彼のこれまでのキャリアを振り返りながら、そこから開ける「働きかた」について伺った。