Vol.2 | 俳優・映画監督・イベントクリエイター

「時代とともに成長していく、新しい“職業”の在り方」小橋 賢児 (後編)

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“日本を背負う、これからの若者へ向けたメッセージ”

『ULTRA KOREA』 で10万人が解放されている光景に胸を打たれると同時に、歯痒い気持ちになりました。世界には素晴らしいイベントやフェスがあるのに、風営法や様々な理由から日本ではダンスを踊ることさえ好まれていない。「昔は楽しかったんだ」 とバブル時代の過去を語る大人達と、「どうせ日本では無理だよね」 って諦めちゃっている若者達。

“日本の未来” に希望を持っていない感じがしたんです。

じゃあ、このタイミングで“ULTRA” を日本に持って来たら、「どうせ日本では」 って言っている若者達に日本は変われると思ってもらえるんじゃないかって。自分達の時代でも変えていけるし、その先の自分の人生までも変わることに気付いてもらえるじゃないかって。そう思ったのがキッカケで、日本に“ULTRA” を持っていきたいと強く思いました。

もちろん、簡単な話ではなくて数々の困難がありましたが、その思いがあったおかげで“ULTRA JAPAN” を無事上陸させることが出来たんです。だからイベントプロデューサーを目指した訳ではなく、職業を作ろうと思った訳でもなく、その時出会った感情を純粋に表現していく中で、気付いたらその先の未来が作られたって感じなんですよね。

 

 

“チャンスを見つけるには、柔軟な思考を持って行動すること”

教育では、“なにかを目指しなさい” っていうけど、未来は網の目のように変わっていくし、その価値も同様に変化していく時代だと思うんですよね。子供の頃になりたい職業が、もしかすると将来無くなっている可能性もあるでしょうし。プロデューサーという職業がここ数十年で誕生したように、今も尚たくさんの職業が生まれていて、それによって新たなチャンスにも出会える。人とのコミュニケーションも変化していく中で、なにかを目指して目標に縛られることで、“チャンス”や “出会い” を見落とすこともあると思うんですよ。だから、目標に縛られすぎるのは勿体ないです。

世界を旅するときも同じで、旅の醍醐味の一つに“計画をしすぎない” ということを意識しています。そうすることで、そこから生まれるハプニングやアクシデントを楽しむ。そこで出会う人や場所、時間も大切な経験だと考えているからです。だから計画をしすぎると、そういった出会いも少ないし面白くないんですよね。

決して全く計画しないという訳ではなく、もちろん下調べはした上で、その計画にしばられないということです。

 

“想像を超える未来は、肩書きに捉われないこと”

自分の中で“職業” っていうものが難しくて、俳優・映画監督・イベントプロデューサー・DJ と色々な肩書きがありますが、自分ではなりたくてその職業を目指した訳ではないので、しっくりこないんです。ただ、『誰かの気付きのキッカケになる場所を作ること』 をいつも意識しながら活動しています。そして、その表現方法がイベントだったり、映画監督であったりしただけなので、決してイベントプロデューサーになろうと思ってやってきた訳じゃないんです。だから、フェスで世界のトップになってやる。みたいな野望もありません。

だって7年前まで瀕死に近い状態だった僕が、全く想像もしていなかったイベントプロデューサーをやっている訳じゃないですか。この先、5年後、10年後、全く違う人になっているかもしれないって思うと決めつけない方が面白いですよね。まだ見ぬ未来と、この先どんな自分になっていくのだろうって想像することの方が楽しいんですよ。なので、この時代だからこそ表現の方法に“肩書き” は必要ないと思っています。

 

“気付き、其処から始まる新しい生き方”

取材を受けることが多くなって来て感じるのですが、気持ちのどこかで“自分らしく、肩書きに縛られることないじゃん” って思い始めている人が増えて来たんじゃないかなって感じています。ただ時代が追いついてなくて、そういう人達をカテゴライズ出来ていないのが現状ですが。そして、そういった人達の中でも本質とはズレている人もいるので、気を付けたいですね。

例えば、人生を『楽しむ』 と 『楽する』 は全然違うけど、混在しちゃっている人もいる訳じゃないですか。そこって、「本質とは違うよ」 って言いたいです。だから、“肩書きを持たない” といっても芯が無ければ、あれもこれもやっちゃうので全然違うんですよね。

じゃあそれって何なの? っていう定義は、自分ではなく他人の行動によって切り開かれると思うんです。僕自身、「こういう生き方でも良いんだ」 って思ってもらえると、そこに“新しい職業の形” みたいなものが生まれて、その人達の“新しい生き方” を助けられると思うんです。それもまた『気付きのキッカケ』 だと思うので、そうなってくれれば良いですよね。

 

小橋賢児
俳優・映画監督・イベントクリエイター
子役時代より俳優としてキャリアをスタート。ドラマ「人間・失格」(94年TBS系)、映画「スワロウテイル」( 96年)と数々のヒット作品に出演、一躍その名を世に知らしめた。俳優業に留まらず映画監督、イベントプロデューサーと多岐に渡りその才能を発揮する。肩書きという枠に捉われず、感情をアイデンティティへと進化させ続ける。彼の『働きかた』から、これまでの人生を振り返り、仕事、生き方に対する想いを伺った。