Vol.6 | 演出家・クリエイティブコミュニケーター

「常識の一歩先へ、本質で愉しむ働きかた」小松 隆宏 (後編)

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“社会的成長に必要なこと、それは ひとが描く輪と輪 ”

2011年3月震災の翌々日が僕の30歳の誕生日で、その日に「WATOWA」を法人登記しました。当時は一人が楽だからと全て自分でやっていましたが、同時に限界も感じていて。そんな折り、経営をしているいろんな業界の先輩たちに、相談していたところ、「会社として伸ばしていきたいなら、人材育成はマストだし、人を雇って拡大しないなら、フリーランスしている方が、良いと思うけどな」とか、「こまっちゃんの場合は、一人のスタッフだと、細かくチェックしすぎちゃうから、一気に3人くらいスタッフ雇った方が、チェックしきれなくて良いと思うな〜」とか「社長とは我慢することだ」と。

いろんな社長の先輩に意見をもらえたことで、“働きかた”を見直しました。もともと人の力を輪から輪に繋げるのが自分の仕事スタイル。いま以上に大きな面白い仕事をしたいなら、会社の中でも輪を作らなきゃなって。その友達の経営者の言葉通り、いきなり3人社員を雇いました。そうしたら売上あがるかなと思いきや、そこから売上げがガクーンとダウン(笑)。コミュニケーションが大変過ぎて。

個人貯金を切り崩しながらやり繰りしていましたが、1年近く経った頃から持ち直した、というか接し方が分かってきたんです。例え、自分の望むクオリティに届いていなくても「プロだから」と任せる。すると、何となくなるようになってきました。

2015年、事務所のビルの1階2階が空いたので1棟まるまる借りてアートスペースと広いミーティングルームを設けました。人の繋がりでしか仕事をしてない僕だから、皆が集まりやすい環境を作りたかったんです。だだっ広いスペースに机と椅子が所狭しと並んで、打合わせをしていると隣から別件の相談が入る。絶えずいろんな案件が交差して進んでる感じ。そうすると横にいる人をすぐ紹介できて、コミュニティ形成が格段に早いんです。これも友達の経営者のやり方を真似させてもらってます(笑)。

また、いま「渋谷ラジオ」でパーソナリティを務めていますが、それもコミュニティ作りの一環です。渋谷の面白い人物や企業と会って、その繋がりを拡げるとドカンと大きな「環(わ)」が広がりそうだと思い、参加させてもらってます。

“魅力的なコミュニティ、必ずその中核に本質がある”

僕にとって「未来の仕事」とは=「コミュニティデザイン」だと思っています。

今、実際に僕のやっている仕事は、詰まるところ PR です。イベントもファッションショーもそもそも PR ですし、パブリシティに対してどういう風に見せるか、伝えるかが核です。昔は雑誌なりTVなりメディアを通して売る側/買う側のコミュニケーションが成立していたけれど、最近は SNS がめちゃめちゃ使われていて情報がほぼダイレクトですよね。

だからコミュニティ自体の計算の仕方がとても大切です。そして、それは、社内でも、プロジェクトチーム内においても、社外やチーム外においても、同じく、状況と、どういう人たちが、どう感じているかを考えて作ることが大事だなと思っています。

少し前に定着した See-Now Buy-Now が示すように、SP(セールスプロモーション)と PR(パブリックリレーション)の垣根がなくなってしまった。今は更に一歩進んで、売る側の存在感や活動自体が訴求に繋がるところまできていると思います。

例えば店をオープンするとすれば、Facebook やインスタにアカウント取って情報をアップするのが基本。その店がどんなことをやっているか情報がない限り、店は存在しないも同然です。そこはきちんとしなきゃいけない。

ということを踏まえた上で、さらに皆が“チェックイン”したくなるポイント作りをするのが全てなんだろうなと思います。ブランドでも店でもイベントでも、チェックインしたい魅力的なコミュニティに仕立てるのが僕のミッションです。

そこに必要なのは、人の心を動かすような“本質”的な行為です。本質的なクリエーションをすれば、誰かに伝えたいというエネルギーが自然と生まれますから。意図的にPRする必要がない。

また伝えたいと思わせるには、作り手がどれだけ楽しんでるかも重要です。ビジネスは所詮人間が相手ですから「面白い」とか「ワクワクする」とか人の心を掴む要素がないとダメな訳で、それは自分たちが楽しんでやってないと生まれない。

自分でもよくハッシュタグを付けている「♯仕事で遊んで、遊びを仕事に」は、僕が感じている“本質”です。楽しむことにこそ、仕事をする意義があるし、そういう仕事は、関わる外部の人たちの感覚を上げていきます!そうすると、自然に、どんどん、そのプロジェクトへの愛が深まって、ポジティブに面白くなっていくなと思います。

“楽しもうという姿勢が、より良い働きかたを作り出す”

働きかたを見つける方策のひとつは、自分がめちゃくちゃ好きなこと、興味があることで思いっ切り遊ぶことです。例えば釣りが好きなら釣りに専念し、ひたすらのめり込み、やりまくってやり尽くす。そして他人から声が掛かるレベルまで昇りつめる。極めたらそれは確実に仕事になります。

僕はいま海外のハイブランドからドメスティック、テレビの仕事、「すごい豆まき」のような笑えるプロジェクトまでありとあらゆるジャンルを手掛けていますが、共通のアプローチは唯ひとつ、「他人が楽しめるポイントをイベントに仕上げる」ということ。

それが純粋に好きで、「どうやったら面白くなるか?」だけを四六時中夢中で考えている。だから、どんな素材でもエンターテイメントに仕上げる自信がある。

また、面白そうだと思ったことを実際の仕事の中で試してきたのも自分なりのストラテジー。クライアントに指摘されない程度にですが(笑)、決められた事をこなすだけじゃなく+αの遊びを常に入れていた。その結果、仕事のオーダーが「コレをして欲しい」から「小松さんがいいと思うようにやって欲しい」という仕方に変わっていきました。好きこそモノの…で遊びまくった結果が、今の働きかたを作っているんです。

あと、受け身で働かないことも大事ですよね。

僕自身コンビニや引越し屋でバイトしたし、メシを食うためにヘルメット被って今の上野駅の修復工事もした(笑)。その経験は後々いろんな形で役に立っています。

どんな仕事にも学ぶべきポイントがあるから、ただお金を貰うだけじゃなくポイントをきっちりマスターすべき。そうすれば本当にやりたい事が見つかった時、思い掛けない力になってくれます。

“包容力ある仕立てだから、大人の遊びが成立する”

大学までバスケに明け暮れていたため、かなりの筋肉質。とくにヒップ周りが標準よりしっかりしていて、市販のパンツだとお尻だけ窮屈に感じます。

採寸時にその旨を伝え、きちんと汲み取って貰えたので、このパンツはフィット感が違います。動いてもどこも突っ張らず、布帛とは思えない程にストレスフリー。それでいてラインがきれいなのは優秀。ロールアップもいい感じに決まります。

ホワイトリネンはオーダーのとき少し派手かと危惧しましたが、仕上がりは思いのほか上品で爽やか。

白一色のインパクトをリネン独特のナチュラルな風合いがさらりとトーンダウンして、行き過ぎた感じがありません。極めてオーソドックスな作り、かつパターンや縫製の技巧に優れているからこそ、大人の遊びが成立するんだと思います。ありがとうございました

小松 隆宏
演出家・クリエイティブコミュニケーター
多様なジャンルのイベントプロデュースのみならず、パリコレでのファッションショー演出、企業ブランディングなどを手掛け、一挙手一投足に業界の熱い視線が集まる小 松隆宏氏。その仕事は常に新鮮な驚きと刺激に満ちている。「クリエイティブ・コミュニケーション」を標榜する現在の活動までの経緯を探り、そこから開ける「未来の働き方」についてのビジョンを伺った。