Vol.15 | 芸人

「エレキコミックって、町の小さな優良企業みたいでしょ?​」やついいちろう・今立 進

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写真:田村暢彬(FABRIC TOKYO) インタビュー/文章:森本萌乃(FABRIC TOKYO)

「はたら区」とは?

「はたら区」は、毎回ゲストを迎えFABRIC TOKYO の社員が働き方について考えるインタビューメディアです。ゲストに「自分らしく働く仕事のヒント」を学び、FABRIC TOKYO からは世界に一着だけのオーダースーツを贈ります。

 

好きなことをしながらまあまあ稼ぐ、を大切に

-エレキコミックを会社に例えると…

業績は良いのに、町の人に知られていない会社ってあるじゃないですか。エレキコミックを会社に例えるならば、正しくそれ、町の小さな優良企業です、笑。有名ではないんだけど、 なんでこんなに売上げあげているの?って不思議に思っちゃう感じ。

例えば僕(やついさん) たちは、コント以外に、僕が音楽、今立はゲーム、みたいにそれぞれの得意分野に特化したお仕事を頂くことがあります。これ、ただの旅好きだと稼ぐことは 出来ないじゃないですか。ある時、こんなにも自分が心を込めて時間を費やしているのに、 1円も稼いでないことに焦りを感じて。プライベートで行く旅行は当然経費なんてものは落ちませんが、行きたいところで仕事を作れば出張になる!仕事にしちゃおうって!この考え方は相方で言えばゲームも同じです。

稼ぐことは大切。好きなことをしながらそこそこお金はあるっていう状態を作るにはどうしたら良いのか?ということを常に考えて活動してきました。小さい会社で、何やってるか分 からないし誰も入りたいと思わないけど、ちゃんと稼いでいるから潰れない、それを目指してますね。

-仲悪いって、なんかダサくて笑っちゃいません?

コンビ仲について聞かれることは多いですが、実際仲は悪くないですよ。大学時代からお笑いをやっていたので、その時の先輩後輩のまま、当時と二人の関係性は変わらないですし、 ただ規模が大きくなった感覚です。​会社で例えるなら、この先もずっと社長と副社長ですね。コンビとして仲が悪いのって周りが気を使っちゃうし、なんていうか、自己主張のぶつかり合いみたいなのに笑っちゃうんです。譲れないほどやりたいことなんて無いし、赤でも青で もなんでも良いんですよ僕たち。

そもそも衝突をするほどのパワーを持ち合わせていません、笑。

結局、僕たちの仕事はお客様の反応が全てであって、2人の意見は関係ないんですよね。常に観客に晒されているからこそ、結果は一目瞭然なんです。

 

流派を作る第一人者に僕たちはなりたかったけど…

-小さな優良企業であるために、人と違うレールを辿る。

例えば居酒屋のメニューで、習字で書いてる風のやつって流行ってるじゃないですか。最初に始めた人はすごいけど、もうどこもかしこも同じになっちゃうとね、結局最初に考えたや つがずっと嬉しいだけなんですよ。ずるくないですか、笑?

伝統を重んじる華道とかも同じで。家元の下にどんどん続いていかなくちゃいけないから、 結果的にその家元が権威化していくわけで、どんなに自分が頑張ってもその家元が一番嬉しいに決まってますよね。

だから僕は、伝統とかしきたりが昔からどうも苦手でした。お笑いも、お笑いっぽさとかに ついて熱く語るの苦手です。敷かれたレールの上じゃなくて、新しい流派を作って誰も通っ たことのないレールを辿りたいなって、自分の道つくっていった方がエレキコミックっぽいと思っていたんです。

でも不思議、後ろから誰も着いてこない、笑!後輩にも全然慕われないしね。 結局着いてきてくれたのは今立だけでした、笑。

今立はそういう意味では、ビジネスマンとしてはフォロワーシップの鏡だと思います。逆に僕は、好きなことを仕事へと繋げることが得意かな。

 

このスーツで、どんなコントしようかなあ?

-コントを続けるのは、夏が来れば海に行きたくなる感覚

20年以上毎月新作コントを作っているので、年間12~13本は単独ライブで新作を下ろしてやっています。お互いそれぞれ個人の仕事もありますが、今でもコントだけは特別な緊張感を感じられますね、エレキコミックを構成する基盤ですから。

飽きる飽きないとかの話だと、飽きているということもあるのでしょう。ただそれって、海で泳ぐ感覚に近くて。1時間も泳いでいれば人間飽きちゃうじゃないですか、それでもやっ ぱり次の夏には海に行く、そんな感覚に近いですかね。「夏になれば海に行きたいね」ってなる感覚で、僕たちは舞台に立ち続けています。

-「初めてのオーダースーツ、これでやっと結婚式に出席できそうです」(やついさん)

オーダースーツを仕立てるのは、今回が初めてです。これまで着ていく服がなくて、結婚式にお呼ばれしても出席できなかったんですよね、これでやっと出席できそうです、笑。 普段ファッションにはサイズ感にこだわりがあって。今回のスーツも自分の好みのちょっとゆるっとした感じで仕上げてもらいました。イメージはイギリスのコメディアンみたいな感じでしたが、なんかちょっとかっこよくなっちゃったな。ずっと家で眠っていたこの帽子、 似合う服がなかったからそれも嬉しいです。

-​「ホームパーティにお呼ばれしたいですね」(今立さん)

普段は頂いたゲームのTシャツばっかり着てますからね、僕。最近ようやくキン肉マンのT シャツをプライベートで着なくなったってぐらい、ファッションは正直無頓着です。今回はデニムのセットアップを作って頂いて、なんか、ホームパーティとか行けそうな気がします。まずはホームパーティに呼んでくれる友人から探さないとな。オーダーって初めてです けど、なんか上半身の可動域が広がった気がします、手とか上げやすいですね!

僕たちコント師なので、スーツ着て漫才ってやらないですし、こんなフォーマルな感じで舞台に立つことはあんまりないですね。そういえば、スーツびしっと着てるコントもあんまり やったことないなあ…衣装からコントを連想していくのも面白いかもしれません。このスーツでコント作れたら、その時は連絡します。ありがとうございました!

 

編集後記:

・インタビューを終えて…

夢とビジネスのバランスの取り方がとても上手で、インタビュー開始直後に飛び出した「町の優良企業」という表現がまさにぴったりなお二人でした。後日コントライブにもお邪魔させて頂き、涙がでるほど大笑いしてきました。インタビューも撮影も、終始私たちスタッフを笑わせながら核心づいたことをお話して下さるお二人、かっこよかったです。(森本)

・採寸を担当したコーディネーターより

やついさんのイギリスのコメディアンのようなスーツを、というオーダーに対し、パンツのシルエットに工夫しました。太もも周りはあえてルーズに、ひざと裾はきゅっと絞り、丈はくるぶし丈に短く設定しています。生地は光沢のある上品な触感のブラウンを選択し、やついさんの放つ”かわいげと抜け感”をスーツでも表現するよう意識しました。(藤本)

飾らない今立さんの雰囲気をそのまま体現するスーツになればと思い、ご提案しました。シルエットは、バランスを見て気持ち短めにしたパンツ丈以外いたってシンプルです。生地は、スーツの経年優化を感じられるFABRIC TOKYO オリジナルの岡山デニムを一緒に選び、スーツと一緒に年を重ねていける、長く愛せる1着に仕上げました。(上村)

やついいちろう・今立 進
芸人
ボケを担当するやついいちろう、ツッコミを担当する今立 進の二人により1997 年に結成さ れた、言わずと知れた人気お笑いコンビ。毎週土曜日25:00スタートのTBSラジオ「​JUNKサ タデー エレ片のコント太郎」は今年14年目を迎え、根強いファンに愛され続けている。​活 躍の幅は芸人だけに留まらず、音楽やゲームなど新しい挑戦も注目を集めており、やついが 主催する「やついフェス」は都市型フェスの代名詞と称されるほど。