Vol.16 | アーティスト(ストレイテナーボーカル)

「ホリエさん、なんでそんなにいい人なんですか?」ホリエアツシ(ストレイテナー)

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インタビュー:鈴木佳菜(FABRIC TOKYO) /文章:森本萌乃(FABRIC TOKYO) /スタイリング:中嶋寧々(FABRIC TOKYO) /写真:上申尚弘 /撮影協力:神泉 TORICO

「はたら区」とは?

「はたら区」は、毎回ゲストを迎えFABRIC TOKYOの社員が働き方について考えるインタビューメディアです。ゲストに「自分らしく働く仕事のヒント」を学び、FABRIC TOKYOからは世界に一着だけのオーダースーツを贈ります。

ホリエアツシさん。昨年デビュー20周年を迎え、日本のバンドシーンの第一線で活躍を続 ける人気バンド・ストレイテナーのボーカルだ。アーティストとして確固たる地位を築くホリエさんは、今年の夏フェスもひっぱりだこ。音楽性の魅力はここで語るまでもなく、今回「はたら区」では、彼の仕事観や人 柄にフォーカスを当ててインタビューを申し出た。

今回の取材を通じて見えてきたのは、ホリエさんが持つ「普通さ」の魅力だった。取材にあたっての連絡のやりとりはホリエさんご本人のLINE、取材当日はご自身の愛車で1人ふらりと訪れ、撮影場所はなんとホリエさんご自身がセッティングしてくださる心遣い!インタビューや撮影でもこちらを一切緊張させない空気感に、思わず聞いてしまっ た。

「ホリエさん、なんでそんなにいい人なんですか?」

  いい人?自分なりにものすごくかっこつけてるんですけど、笑。

自分の音楽を聞いてもらったり名前を知ってもらえていることは嬉しいけれど、僕の音楽を知らない人にとっては何も特別じゃないし、未だに、自分自身が何かを成し遂げたという実感もないです。もっと素晴らしい曲を作りたいし、ライブの後も「もう少しなんとかなんないかなー」って反省の連続です。「いい人」って言われるとするなら、そういう自分のネガティブな側面から来てるのかもしれないですね。

普段飲みにいく時は、行ったお店でたまたま隣に居合わせた人とかと飲みますね。それも「いい人」というか、フラットな人柄と言えるのかな?自分にとってはとても普通なことなので、分からないです。

他人が怖くないことが、僕の強いところなのかもしれない。

僕多分、他人に対して怖いという感情があまりないんですよね。元々人に興味があって、人の良いところから見つけようとするので。接してみて相手に好感を持てたら、自分の話もするし、相手の話を聞くのも楽しい。だから僕のこと知らない人と飲むのは楽しいです。

逆に、超ファンです!って話しかけてくれたのをきっかけに飲むこともあります。まあ、熱量が一定を超えて気持ち悪くならなければね、笑。

おひとりさまでも居心地のいいライブを目指して。

ストレイテナーの語源は、まっすぐにする人。だけど僕自身、実は根っからの天邪鬼です。 だからなのかな、誰かがやっていることをやりたくないというのが常々あって。ライブで も、コールアンドレスポンスとか、曲の前のお決まりのMCとか、そういう決まり事は苦手ですね。他のアーティストが上手にそれをやっているのを見ると尊敬しますが、自分にはできないし、自分がやるとかっこ悪いと思っちゃうんですよね。

僕ができる嘘のないかっこよさを突き詰めたら、MCは楽屋のゆるっとした雰囲気のまんまでいいやっていう、今のスタイルになりました。これがストレイテナーなりのかっこよさの答え。そのゆるさを「飾らない」=「いい人」と捉えてくれる人もいるのかもしれないけど、自分としてはこうじゃないとかっこ悪いと思っているだけで、笑。

あと、ストレイテナーのライブのお客さんの特徴として、おひとりさまが多いんです!自分が人のライブを見に行く時、非日常な場所に飛び込む時はやっぱり緊張するので、せめて自分のライブに来てくれる人には、そこが1人でも居心地のいい空間にしたいなあと思っていて。全体よりも一人一人に届けるように心がけていて、それぞれ自分の楽しみ方で自由にライブを楽しんでほしい。それが居心地のいいライブの空間に繋がっているなら嬉しいですが…

でもね、1人のお客さんが多いというのは実は動員の意味で危険な状態です。仲間を連れて来てくれた方が動員が増えて嬉しいですからね、笑。

ずっと、かっこよければ誰かに見出してもらえると思っていた。

大学時代にストレイテナーを結成したのですが、当時はそこそこ尖ってたんですよ。自分たちの音楽のアピールポイントはぼんやりしているくせに、かっこいいという自信だけはあって。ライブハウスのオーディションに落ちた時は、ブッキングの人へ食ってかかったりしていました。当時は、バンドはかっこよければ売れるって真剣に思っていたから、感度の鋭い人がいつか自分たちを見つけてくれると信じて疑わなかったし、音楽性ややり方を時代に寄せるとか変えるとかは考えてなかったんですよね。結局デビューした後、自分たちを受け入れてもらうまでには結構時間がかかりました。

東京に出てバンドをやるんだ!その一心で東京の大学に入学して、そこからずっとバンド中心の生活。今考えると、大学時代は友達と富士急行ったり朝までボーリングしたり、そういうのやっとけばよかったなあ、笑。

信じてくれるスタッフチームがいたから、自然と培ったビジネス視点。

その当時、僕たちが信じるかっこいい音楽を理解してくれたのが、当時のライブのイベンターと、今のレコード会社のディレクター、そしてマネージメントの社長です。マネージメントの社長はメジャーデビューの時「君たちはかっこいいから、そのままやればいい」と言ってくれて。社長いわく、ライブがかっこいいんだからそれ以外は必要ない、マスに向けたプロモーションだったり、芸能的なコネクションを使うことは、全く考えていなかったらしいです。今思えば考えてよって思うんですけど、笑。商業的な成功よりも、バンドのやりたいことを最優先してくれる環境で音楽を続けてこれたのは本当にありがたいですね。

だから、僕らもバンドを続けていく中で、音楽を作ってライブをするだけではダメだと言うことは分かっていたし、自分たちでいろんなことを考えて動くように自覚が芽生えていきました。ツアーの動員や、レコードの売り上げ、新たな人に音楽を届けるために何が必要かとか、今ファンは自分たちに何を望んでいるかとか、いつも自分たちで考えます。

このインタビューを読む人は、働くビジネスマンが多いんですよね。僕も、目まぐるしくメディアが変化していく中で、音楽をどう表現していくべきか、ユーザーにどう届けるか、ビジネス的なことも気にしていないとなと思っています。

ファッションだけはもっと気を使っておくべきだったなって、笑。 

そんなスタッフチームとの信頼関係において、一つだけすごく言いたいことがあります。ビジュアル面はもっとしっかりしておけばよかった!

メジャーデビューしてから4年目くらいまでは、どんな撮影でもヘアメイクやスタイリストなはし、全て自前だったんです。当時、服はモノ単体でしか見ていなかったので、好きなモノを着るという頭しかなくて、客観的な意見を人に求めたりしないし、コーディネートのバランスとかも全く考えられていなかったです。その後、同世代のファッション関係の友人ができて、アドバイスを受けたりするうちにちょっとずつ分かるようになっていったのですが、もしもあの時、もっと早い段階でビジュアル面にこだわれていたら…と考えることが時々あります。

良くも悪くも、バンドに全てを任せてくれていたから、そういうのを指摘してくれる大人が周りにいなかったんですよね。もし当時の自分になにか助言できるとすれば、そこかな。でもスタイリストの友人にこの話をしたら、自分で選んで着てる服にはその人の感性が表れているから、本当はそれが一番かっこいいって言われました。だから、やっぱりこのままでよかったのかな、笑。 

オーダースーツって、なんだか待ち合わせしたくなる。

今回オーダースーツを作れると聞いて、ちょっとおもしろい色味を選びたいなと思い、採寸担当のスタッフの方から勧められたブラウンのリネンスーツに決めました。全体的に細身の割に首が太いとよく言われるのですが、今回そこをうまく補正をかけていただけたのか、肩が楽な感じがありますね。ジャケットはダブル、ラインをゆるめに仕上げた分、パンツの細身のシルエットとのメリハリも気に入っています。

普段スーツを着ないのですが、できればこのスーツは上下セットでちゃんと着てあげたいという感じがします。身が引き締まるし、なんか…待ち合わせしたい気分ですね、笑。

「ホリエさん。最後に、仕事を頑張れるおすすめの曲を教えてください。」

1曲目:スパイラル

この曲は、ツアーの最中に、ライブに来てくれるファンに宛てて書いた曲です。生きていると、誰もが直面する葛藤や苦悩に、自分の居場所を見失うときもあると思うんですけど、ファンにとって僕らのライブが確かな居場所になって、苦難を乗り越える力になれたらとエールを送る意味で、仕事中も向いている気がします。

2曲目:原色

タイトルの原色は、そのままの自分=原色と例えて作った歌です。他人の声に惑わされて、自分を偽ったり無理に変えてしまうことなく、自分の色でいたいよね、というメッセージを込めた曲です。聴いてくれた人が、ちょっとでも肩の力を抜いて、本当の自分に向き合えたらいいなと。

 

「ホリエさん、楽しい取材をありがとうございました!」

編集後記:

-インタビューを終えて…

はたら区のテーマに沿って「自分らしい”働く”」を追求してみたところ、「自然体で働く人」=「ホリエさん」に行きつきました。今回のインタビューは、昔、私自身がライブハウスで働いていた頃のご縁で実現しました。インタビュー中も、音楽の現場で見てきたホリエさんそのままの姿で、”働く”上で出てくる、いろいろな苦労や葛藤にも常に自然体で向き合えている素敵な様子が、言葉の端々から伺えることができました。(FABRIC TOKYO 鈴木)

-採寸を担当したコーディネーターより

全体的に細身で、ギターを長く弾かれているせいか、身体が少し前傾している印象でした。この体型の方はスーツのウエスト周りにシワが出やすく、前幅の狭さが原因でバスト周りが余りやすい体型のため、シワが出にくいサイズ感と肩周りの補正を入れて調整しました。また、様々なシーンに合わせてインナーを色々楽しめるように、ジャケットは全体的にゆとりを持ったシルエットに、パンツはホリエさんのスタイルの良さを活かせるよう、裾だけ絞ったテーパードシルエットにしました。(FABRIC TOKYO 上村)

※ホリエさん着用のスーツ生地は現在品切れとなっております。FABRIC TOKYOでは数百種類の生地の中から、お客様のご希望にあった生地をご提案します。お悩みの方は店頭にてスタッフにご相談ください。

-NEWS!

ストレイテナー史上初の野外ワンマンライブが決定。10/19(土)”Fessy” at 日比谷野外音楽堂 (アコースティックセットとエレキセットの2部構成)

-2019年8月~10月 ストレイテナー活動予定

8/4(日)CONNECTED2019 ~Only for Music Junkies~ at 仙台GIGS

8/8(木)大ナナイトvol.124 at 渋谷 TSUTAYA O-EAST with androp / Saucy Dog

8/12(月)ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019

8/16(金)RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO

8/23(金)WILD BUNCH FEST.2019

8/25(日)Sky Jamboree 2019 ~one pray in nagasaki~

8/31(土)RUSH BALL 2019

9/1(日)SWEET LOVE SHOWER 2019

9/8(日)JA共済 presents RADIO BERRY 25th ANNIVERSARY ベリテンライブ2019 Special

9/14(土)BAYCAMP 2019

9/14(土)15(日)New Acoustic Camp 2019

9/29(日)中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019

10/19(土)”Fessy” at 日比谷野外音楽堂

 

ホリエアツシ
アーティスト(ストレイテナーボーカル)
1978年7月8日生まれ、長崎県長崎市出身。中学生時代からの幼馴染であったナカヤマシンペイ(ドラムス)とストレイテナーを結成し、今年でデビュー21周年を迎える。ストレイテナーほぼ全ての楽曲の作詞作曲を手がけ、2009年からはバンド活動と並行しながらentとしてのソロ活動も開始している。