
ピッティウオモ2025秋冬|現地取材で見えた最新トレンドを解説 #1
2025年の1月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全9回にわたってご紹介します。
取材は、今回も現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
2025年1月14日から17日まで、第107回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ・ウオモ)」が、フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催された。この「ピッティ・ウオモ」とは、毎年、1月と6月に開催される世界最大級のメンズファッション見本市として知られている。
長年、クラシックなイタリアの紳士服ブランドがメインだったが、最近ではカジュアル&スポーティ傾向、およびジェンダーレス傾向が進み、出展ブランドも多様化している。
次シーズンの最新モードのトレンドはミラノやパリのファッションウィークが牽引しているものの、一般消費者に向けての実質的な売れ筋商品傾向は、「ピッティ・ウオモ」で見つけるバイヤーも多く、またビジネスコネクションを開拓する場でもある。
さらに、多様化の傾向により、新しいブランドがマーケットを広げるための場として、または外国のブランドがイタリア(およびヨーロッパ)進出の足掛かりにとする流れもあり、国際化も進んでいる。
それは数字としても表れていて、「ピッティ・ウオモ」を主宰する「ピッティ・イマジネ」協会の報告によると、今回の出展ブランド数は789でそのうち45%がインターナショナルブランドだった。外国人バイヤー数は 5,000 人に達し、1年前の会と比較すると6.5%の増加を記録したとか。また、総来場者数は前回を大きく上回る、約20,000人と発表されている。
また「ピッティ・ウオモ」期間中に話題のデザイナーを招いて行われる特別なショーやイベントも毎回大きな話題となる。例えば、前シーズン、ゲストデザイナーとしてショーを行った「ピエール ルイ マシア」は今シーズン、ミラノファッションウィークに参加したが、このように「ピッティ・ウオモ」をきっかけに、ステップアップするブランドもある。
今回は、「エムエム6 メゾン マルジェラ」と「セッチュウ」がランウェイショーを行った(詳報は各ショーの記事にて)。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
「ピッティ・ウオモ」は毎回、全体的テーマを掲げているが、今回のテーマは「火(FIRE)」。メイン館前の広場には、火を映し出したデジタルパネルによる焚火のインスタレーションが設置された。
「火は、人々を集め、体と心を温め、注目を集めて進むべき道を示し」「楽しませ、驚かせ、インスピレーションを与え、古いアイデアや習慣を溶かし、新しいものを生み出す」という部分をファッションに重ねているそうだ。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
今回の「ピッティ・ウオモ」の傾向については、前シーズンの流れが継続している。それは、不安定な世界情勢、気候変動の影響も受け、ファッション業界全体が停滞していることを受けていると思われる。
洋服の価格が高騰しすぎて消費者が服を買わない時代ゆえに、汎用性のあるタイムレスなアイテムに力を入れており、今シーズンもクラシックやエレガンスへの回帰傾向は続く。そしてそれを最先端のテクニカル素材やディテールで、軽さや柔らかさといったコンフォートをプラスしているのが特徴だ。
一方、カジュアル&スポーティアイテムにもカシミア高級天然素材や、クラシックな英国調柄などを使うことで、見た目はラグジュアリーながら快適なスタイルを提案する。サステナブルや環境への配慮はますます声高になっているが、これもこのトラディショナルとイノベーションの融合の延長線上にある。
また、ミックステイストで、自分らしい自由なコーディネートを提案するブランドが多く、そんな中で重要な役目をする差し色として、バーガンディを軸に、テラコッタやアンティークローズ、ダークレッドからパープルまでのレンジや、グリーンのトーンなど、春夏に続いて秋冬シーズンでもパンチのきいたカラーが使われていた。
そんな中から今シーズンのトレンドを象徴するコレクションをいくつかピックアップしてみよう。
まずは、イタリア・ヴァレーゼに本拠地を持つ、スポーツとエレガンスが融合したブランド「ポール&シャーク」。サステナブルへの注力では業界でもトップクラスだ。
今シーズンは、「エレガンス&パフォーマンス」をテーマに、外側はカシミア、内側には撥水性、通気性に優れた「タイフーン」という同社オリジナル生地を使ったリバーシブルブルゾンや、襟にはニットを施し、インサートにテクニカル素材を使用したピーコートなどが登場する。
Courtesy of:PAUL&SHARK
イタリア・マントヴァの老舗紳士服メーカー、ルビアム社のカジュアルライン「L.B.M.1911」はラグジュアリーかつ快適な「ブラックアウト」というカプセルコレクションを発表。ドロップショルダーのジャケットにワイドシルエットのパンツを合わせ、生地は切りっぱなしのディテールを活かしている。
本コレクションではバーガンディやアシッドグリーンなどの色使いが特徴的。同社のサルトリアライン「ルイジ・ビアンキ」もテーラードスーツだけではないトータルルックを強化し、フィールドジャケットやビーバーコートなどのアウターウェアを充実させている。
Courtesy of:L.B.M.1911
Courtesy of:Luigi Bianchi
今シーズン、「ピッティ・ウオモ」に復活した英国を代表するアウターウェアブランド「マッキントッシュ」は、今シーズンのトレンドであるボルドー、パープルなどをキーカラーとして展開する。
防水機能のあるフィルムを張ったレインテックのコートはシームテープやライニングで完全防水に。地球温暖化による暖冬対策として、コットンのコートを強化するなど、機能性をアップしたり、市場の需要に敏感な製品づくりが見られた。
「キートン」の傘下のナポリのスーツブランド「サルトリオ」は、今シーズンもテーラードスタイルにモダンな要素を入れ込んだ。
ジャケットの代わりとしてオーバーシャツ、ネクタイの代わりにストール使いを提案。デニムシャツをプリンス・オブ・ウェールズ柄のジャケットに合わせたり、スーツの上にフィールドジャケットを羽織ったりするコーディネートも見られた。ミリタリー柄のタキシードも登場する。
イタリア・ソラーニャ(パルマ)発の高級ファクトリーブランド「カルーゾ」は、クラシックな英国調の雰囲気のラインと、遊び心あるエレガンスをミックス。
ジャケットに使われている芯地のキャンパスをディスプレイの一部として使用し、伝統的な職人技による同社の仕立ての良さを改めて強調した。また先シーズンから先取りしていたトレンド色、バーガンディやアンティークローズなども登場しつつ、薄めのブルーのトーンを独自に提案していた。
スウェーデンのシャツメーカーとして知られる「イートン」だが、ますます品揃えの多様化に力をいれており、今シーズンは「サルトリアル・エヴォリューション」をテーマに、テーラードジャケット、ニットカーディガン、ウエストコートなど、汎用性を備えた幅広いアイテムで展開。
英国のカントリーサイドのようなイメージをコーデュロイ、カシミア、メリノウールなどの高級素材を使ってイタリア製で仕上げている。
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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