【2024年】ゼニア|ミラノ現地取材シリーズ

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2024年の1月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全10回にわたってご紹介します。

取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。

ファッションをより楽しんでいただけるような、24年〜25年秋冬のコレクションのトレンド情報をお届けします。


ゼニア(ZEGNA)

1910年創立の老舗高級服飾生地メーカーであり、1968年からはトータルファッションブランドとしてもその地位を確立してきた「ゼニア」。アーティスティック ディレクターのアレッサンドロ・サルトリのディレクションの元、年々そのコレクションに磨きがかかり、ミラノメンズで最も重要なショーの一つとなっている。

ここ数年は、ミラノファッションウィークのフィナーレを飾っているが、それはショーの後、モデルたちがランウェイに残って整列し、招待客に間近で洋服を披露するという演出をする為でもあるだろう(ファッションウィーク期間中は、次に控えているショーや展示会へと駆け足で移動してしまうゲストたちも、最後のショーならゆっくり会場に留まることができるからだ)。今やお馴染みとなったこの演出は、「ゼニア」の素材や仕立てへの自信と思い入れを象徴している。

ショー会場は真っ暗な巨大な空間で、その中央にはイタリア・トリベッロの本社工場にあるカシミアの調合室をイメージしたビキューナ色のカシミア原料の山が作られ、その周りがランウェイになっている。

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Courtesy of:ZEGNA

「IN THE OASI OF CASHMERE(カシミアのオアシスの中)」をテーマに、前回の秋冬コレクションに続いて今シーズンもカシミヤにフォーカスし、ウォッシュド、キルティング、アップサイクルなど天然のカシミヤをバリエーション豊かに展開。それをホワイト、アイス、バター、バーンドオレンジ、アスファルトからインクブルーやブラックに至るまでのカラーパレットで繰り広げる。そしてそれらを自由に組み合わせることによって自分らしいパーソナルなスタイリングを提案する。

三層構造のローデンコートや、二層のカシミヤのキルティングコート、またはシャツジャケットの重ね着、そして薄手のコートの上にリブ編みのセーターを重ねたり、ジャケットの上にジレを重ねるコーディネートなどレイヤードを多用。多くのルックがトーンスタイルでコーディネートされており、これによって同じカシミヤでも加工によってテクスチャーが変わることの面白さが強調される。

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Courtesy of:ZEGNA

またボックスシルエットのジャケットにはメガポケットを、オーバーシャツやブルゾン、ジレにも沢山のパッチポケットがつけられているが、これらのポケットは斜めになっていたり、つける位置が微妙にずれていることで、機能性にデザイン性を加えている。さらに、スーツの代わりとなるような、七分丈のタートルネックとフロントにシームを施したワイドパンツのセットアップや、ゆったりとしたスリーブやダブルダーツを入れたトラウザー、ドローストリングのパンツなど、上品さは保ちつつ、リラックスした着心地を与える実用性の高いアイテムも多い。

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Courtesy of:ZEGNA

アウター類が充実しているが、襟が取り外しできる仕様にすることで、中に着ることもできるジャケットもあり、ひとつのアイテムで着こなしの可能性を広げる工夫もなされている。

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Courtesy of:ZEGNA

ショーのBGMには、イギリスのミュージシャン、ジェイムス・ブレイクが「ゼニア」のためにカスタムメイドしたサウンドトラックが使われ、コレクションのモチーフや思い、そして何よりも環境の創造性と共生する流れを物語るような音楽がショーに華を添えた。

取材・文/田中 美貴

大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。

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ファッションレポート(2024年1月)ミラノファッションウィーク特集
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