【2024年秋冬】ピッティ・ウオモ|現地取材シリーズ #3
2024年の1月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全10回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
第105回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ)」のレポート第三弾では、期間中に行われるイベントについて紹介する。
「ピッティ」では毎回、招待デザイナー達によるショーやプレゼンテーション、ブランドの特別イベントなどが開催されるのも見どころの一つとなっているが、第105回「ピッティ」では、4つのショーが行われた。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
まずは、正統派アメリカンクラシックをベースにモダンに仕上げたコレクションに定評があるデザイナー、トッド・スナイダーが登場。
「ウールリッチ ブラック レーベル」のクリエイティブディレクターに就任した彼は、「ウールリッチ ブラック レーベル バイ トッド スナイダー」の31体のコレクションと、自分の名を冠したブランド「トッドスナイダー」の50体のコレクションを発表した。
前者では、アウトドアやミリタリーのテイストを上質な素材でテーラードテイストを盛り込みながら表現。アップデートされたアークティックパーカ、ラバーソールで包まれたダックブーツ、カシミヤのバッファローチェック柄のシャツなど、190年の歴史を持つ「ウールリッチ」を象徴するアイテム達をモダンに昇華した。
後者は、「THE MODERNIST(モダニスト)」をテーマに、デザインの巨匠たちからインスピレーションで生まれたコレクション。ブリティッシュドレープを現代的に解釈し、ゆったりしたスーツやニットとパンツのリラックスしたコーディネートで展開する。サテンのオーバーシャツ、チェックのブレザー、洗いのかかったジーンズやローファーなど、アメリカンカジュアルに欠かせないオーセンティックなアイテムを品よく仕上げた。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
今回のゲストデザイナーとして目玉的存在のルカ・マリアーノによる「マリアーノ」のショーも開催された。
イタリアらしいサルトリアテイストの仕立てに奇抜なアイデアを盛り込んだスタイルで知られる「マリアーノ」は、ファッション関連のいくつかの重要な賞も受賞し、最も注目されているデザイナーの一人だ。
コレクションのインスピレーションは1983年の伊・ソ連合作映画「ノスタルジア」。「ボルサリーノ」や「キートン」といったイタリアの老舗ブランドとのコラボによるクラシックなモノづくりを活かしつつ、小さな不協和音をあえて入れ込んでいる。
例えば、胸元や裾の部分をねじったりロールアップしたテーラードジャケットや長さも幅もオーバー気味のクラシックなスラックスなどの誇張したボリュームの遊びや、アウターやジャケットから長くシャツやニットの裾を出したり、ジレを2着重ねたレイヤードなど。
そして今回は女性モデルにテーラードスーツを着せたり、ネコのモチーフのモヘアセーターやリボンのアップリケを施したパーカなど、キュートな要素を入れ込んでジェンダーレスな雰囲気も漂わせている。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
スペインのシューズブランド「カンペール」のクリエイティブディレクターを務めるアキレス・イオン・ガブリエルが、自身の名を冠したブランド「アキレス・イオン・ガブリエル」のデビューコレクションを発表。
レーザーカットが施されたランジェリードレスやキャミソール、スカートとパンツのレイヤードスタイルを男性モデルが、オーバーショルダーのスーツやコートを女性モデルが纏うなど、ジェンダーレスな提案がなされた。
シワ加工が施されたテーラードスーツ、ダメージレザーのセットアップ、部分的につまんだようなニットなどディテールや、はと目のロングベルトや存在感のあるロンググローブやウエスタンブーツなどパンチの効いた小物類で、テーラリングにひねりを加えている。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
さらにロンドンファッション界で最も期待される若手デザイナー、スティーブン・ストーキー・デイリーによる「S.S.デイリー」のショーも開催された。
英国人観光客と一緒にイタリアを訪れた男性を描いた1911年のEM フォスターの小説「パニックの物語」からのインスピレーションで、制度化された英国の格式と、それから解放されるリラックス感のバランスを探求。
パンツをはかずにオックスフォードテールのジャケットだけを着たコーディネートや素肌に羽織るテーラードジャケット、ミリタリーコートにはショーツやパジャマパンツを合わせるなど、ユニフォーム的要素に崩しを入れる。
さらにタッセル、フルーツの刺繍、リボンなどフェミニンな装飾からニットドレスまで登場し、ジェンダーレスなテイストも強調。ポロ襟の付いたマキシニットケープ、アーガイルチェックやトレンチなど、英国らしい要素を散りばめつつ、明るい色使いやプリントでイタリアらしい楽しさが加わったアイテムも見られた。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
また「トッズ」は「アウトモビリ・ランボルギーニ」とのコラボによるフットウェア コレクション「トッズ・フォー・アウトモビリ・ランボルギーニ」をローンチし、そのお披露目イベントを行った。
会場には、ラボルギーニ レヴエルトも展示。トッズを象徴するゴンミーニとスニーカーをランボルギーニのカラーリングからの着想で、イエロー、グリーン、ブルーの3色で展開。ヒールやアッパーの色に合わせた大きめなラバー ペブルを配置した大胆なデザインも特徴だ。
Courtesy of:Tod's
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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CANONICO PREMIUM WOOL
世界三大生地産地の一つである、イタリア北部ビエラ地方を本拠とする高級服地の織物メーカー。 1663年にテキスタイル(織物・布地)メーカーとして創業し、350年以上の歴史をもっています。近代的で大規模な設備によって、高いクオリティとコストパフォーマンスの良さを兼ね備えた生地を生産し、世界有数のハイブランドや高級テーラーから多くの信頼を得ています。
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FRATELLI TALLIA DI DELFINO(フラテッリ・タリア・ディ・デルフィノ)は、1903年にイタリアのビエラ地方ストローナで創業した生地メーカー。ビエラ地方は、豊富な水資源に恵まれた地で培った高い技術力と、最新設備で生産される生地は、比類なきものと称賛されています。歴史と伝統に裏打ちされたテーラーテイストのセンスと、現代のマーケットトレンドのアイデアを融合させたコレクションは、まさに、技術力とデザイン性の賜物といえます。
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