
ピッティウオモ2026 |秋冬の最新トレンドを徹底解説 #1
2026年1月13日から開催中の、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全9回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
2025年1月13日から16日まで、第109回「ピッティ・イマージネ・ウオモ(以下ピッティ・ウオモ)」が、フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催された。
今回の入場者数は19,000人に及んだとか。この時期には珍しく雨が続き、天候には恵まれなかったが、盛況だった様子だ。

今シーズンの全体のキーワードとなるのが、伝統への回帰と機能性の融合だ。職人技、上質な素材や伝統的なパターンを使用し、デザインはオーセンティックでアーカイブの再解釈も見られる。
そしてそこに快適さと機能性を入れ込むことがマストで、クラシックなスタイルの中にもハイテク機能を持った生地を使い、機能的なディテールを施すことで、柔らかさと軽さ、リラックス感を追求している。
これは今までもあった傾向だが、今シーズンは特にテーラリングが重要度を増しているので、機能性とのバランスが顕著だ。

チェック、ヘリンボーン、千鳥格子のような伝統的英国風のモチーフにモダンなひねりを加えたものも多い。
タイドアップの提案も少し復活しているが、ネクタイはニットだったり、トーンオントーンでシャツやジャケットと色を合わせたりと、あくまでカジュアルに。
または多機能アウターウェア、テクニカルパーカ、トラベルジャケットなどをレイヤードするコーディネートや、キャップやデニムシャツなどスポーティなアイテムをどこかに加えるなど、エレガンスとアウトドア、またはリラックスを融合させたコーディネートになっている。
各地で起こっている戦争や紛争の影響のせいか大々的には謳わずとも、機能性の面からミリタリーテイストも見られる。

また、今シーズンもスーツやセットアップはトップスまたはボトムスだけを他のアイテムとコーディネートして着回す提案も多い。良質な製品を、着まわして長く使いたい、という現代の消費者のニーズからくるものだろう。
全体的に“自然”という要素を挙げるブランドが多く、色、質感、ボリュームに山や森、石といった有機的なイメージを意識している。
カラーパレットはバーガンディ、モスグリーン、ダークブラウン、ミネラルグレーなど深めのアースカラーで、ウール、ツイードなどの無骨な質感やヴィンテージのようなレトロテイストのある生地使いも見られた。
Caruso カルーゾ
イタリア・ソラーニャ(パルマ)発の高級ファクトリーブランド「カルーゾ」は、写真家、ソール・ライターの作品に見られるような柔らかく拡散する光からのイメージで、ブラウン、ダスティグリーン、バーントレッドなど抑え目の暖色系アースカラーが主流。


柔らかく流れるような素材に重点を置き、英国風のシェトランドを独自に開発して限定カラーカードで展開。ウールやフランネル、ツイード、カシミアやキャメルなど手触りのよい上質生地で展開している。
リラックスした雰囲気で仕上げたダブルブレストオーバーコートやスーツなど伝統的なテーラリングと共に、オーバーシャツやブルゾンなどカジュアルなアイテムも充実している。

L.B.M.1911 エルビーエム1911
イタリア・マントヴァの老舗紳士服メーカー、ルビアム社のカジュアルライン「L.B.M.1911」は「メタモルフォーゼ(変容)」がテーマ。
汎用性が高い現代的なレギュラーフィットで、控え目な自然の色を使うことにより、様々なシチュエーションで着まわせるようなコレクションを提案。
コートは着心地やフィット感にもこだわり、丈は10cmほど長くすることで新たなエレガンスを演出する。
テーラリングをメインに押し出しつつ、トラベルジャケット、フィールドジャケット、薄手パッド入りパーカー、アビエイタージャケットやボンバーベストなどスポーティなアウター類も充実している。


Gabriele Pasini ガブリエレ・パジーニ
「ガブリエレ・パジーニ」は、独自の加工や織りで仕上げた生地や、刺しゅうを施した仕上げで、ひねりのあるテーラリングを展開。
テーラードジャケットの上からシャツジャケットを着たり、セーターをマフラーのようにジャケットの上から巻いたりといった、コーディネートにも遊びを加えた。


またイタリアの高級デニムメーカー、メモリーズとのコラボレーションによるデニムカプセルコレクションを発表。
「テッラ」という独自のウォッシュ加工を施したプリーツ入りのテーラードテイストのデニムパンツ、ワークジャケット、ダブルブレストジャケットなどが登場した。


Sartorio サルトリオ
「キートン」の傘下のナポリのスーツブランド「サルトリオ」は、テーラードジャケットやスーツに、アイコニックなユーズド風のテキサスシャツや、チャッカブーツを合わせたモダンなコーディネートを提案。
テキサスシャツは洗いの違うデニムのシリーズも登場。グレンチェックや千鳥格子、ヘリンボーンなどのモチーフも登場するが、深いグリーンやチョコレートブラウン、アイスグレーなど控え目なアースカラーで展開することで落ち着いた印象が漂う。
04651/A TRIP IN A BAG 04651/ア・トリップ・イン・ア・バッグ
今年10周年を迎える「04651/ア・トリップ・イン・ア・バッグ」。
ドイツで最も人気のあるリゾート地、シルト島の海と手つかずの自然からインスピレーションを得ており、ブランド名は、その島の市外局番に由来する。

アニバーサリーイヤーには、創業当時のアーカイブを振り返り、旅でも自宅にいる時のように過ごせるような、旅を連想させるコレクションを発表。
またミラノ・コルティナ冬季オリンピックに因んだ15体のカプセルコレクションも発表。白、アイボリー、アイスグレーなど雪をイメージした色使いで上品さと機能性を融合している。


大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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イタリアの名門生地メーカー Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)と、2024年にサービス開始10周年を迎えた FABRIC TOKYO とのダブルネームにより誕生した特別な生地です。
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