
ピッティウオモ2026 |秋冬の最新トレンドを徹底解説 #3
2026年1月13日から開催中の、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全9回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
2025年1月13日から16日まで、第109回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ・ウオモ)」が、フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催された。
「ピッティ・ウオモ」では、毎回、話題のブランドがスペシャルゲストとして登場し、ランウェイショーやイベントを開催する。
今回は、2日目の14日にスペシャルイベントとして「シンヤコヅカ」とゲストデザイナーの「ヘド メイナー」が、そして翌15日にはもう一人のゲストデザイナー、「ソウシオオツキ」がショーを発表した。
セントラル・セント・マーチンズを卒業後、2015年にブランドを創業し、東京やパリでコレクションを発表してきた小塚信哉による「シンヤコヅカ」。

スペシャルイベントとしてフォルテッツァ・ダ・バッソの会場内で「Issue #9」となるショーを行った。散歩が好きだと言う小塚、このコレクションは、歩いている時に片方だけの手袋を見つけたところからスタートしたのだとか。
「この手袋はいったいどこに帰るのだろう?」という疑問が、心や家族という一つしかないものが“帰る場所”であり、「あの片手袋はどこかに帰るのではなく、誰かの帰る“家”なのかもな」という思いになった。
そして家路を導く灯台にもイメージを重ね、そんな中から生まれた造語“Lighthome”をテーマとして掲げた。ランウェイは人工雪を一面にひいた冬景色。

主役となる片手袋は各所に登場し、多くのモデルが片手だけにミトンの手袋をして登場。片側だけが手袋につながっているマフラーもあり、コートやバッグのディテールとしても手袋のモチーフが使われている。

ニードルパンチによって粉雪がかかっているような効果を出したり、雪を踏んだようなフットプリントを施したりしたアウター類が目を引く。
また除雪作業を描いたニットや、作業員のようなワークウェアも登場する。雪の玉のようなドットを描いたニット、そして黒いコートに沢山の白いボタンを縫い付けたコートもある。どこまでもポエティックで見る人の心を温めるショーだった。



2019年に「LVMHヤングデザイナープライズ」の「カール・ラガーフェルド賞」を受賞し、現在はパリを拠点にコレクションを発表しているイスラエル出身のデザイナーが自身の名を冠したブランド「ヘド・メイナー」。
1930年代にフィレンツェを訪れる来賓の宿泊地として建てられ、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に直結したパラッツィーナ・レアーレという建物でショーを開催。

メイナーは、駅という人が行きかう場所を舞台とし、歴史ある建物とその外にある現代的な日常の両方を表現したかったと言う。
これは“古典的な要素を変形させることで着る人が自分自身の服だと認識する”という狙いから来ており、例えば、テーラードジャケットは、ショルダー部分が幅広で前に突き出て袖は外側にカーブし、ウエストは絞られている。


トレンチコートの肩は丸みを帯び、スウェットシャツはねじれ、シャツ地の襟は切り落とされている。円形のケープは中心からずれおり、スカーフは床につくほど長い。
モジュール式のレザーバッグは、フォルダー、ピルボックス、メガネケースといった要素を交ぜたようなデザインだ。リーボックのアーカイブブーツ「NPC Insignia」はヒートウォッシュ加工によって歪んで伸ばされている。


オーセンティックなテーラリングにあえて違和感を与えることで、人と違う見た目になる自由を持つこと、常識にとらわれないことを問いかけ提案した。
「LVMHプライズ 2025」でグランプリを受賞し、今、最も注目されているデザイナー大月壮士が2015年にスタートした「ソウシオオツキ」。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会にてショーを開催した。今シーズンのクリエイションの核心は、「ノスタルジア」という感情をめぐる問いだったのだとか。それは実際に経験したことのない情景や時代への憧れだ。
テーラリングを正式に学んだわけでも、海外で専門的な教育を受けたわけでもない大月が、テーラリングの聖地であるイタリアを訪れ、自身の視点からその文脈を再解釈する。
それは日本の“サラリーマン”スタイルの昇華で、ピークドラペルやシャツの襟先には人工的なカールを施し、オックスフォードシャツはバイアス仕立てに。


コクーンシルエットのローゲージニットやパワーショルダーのジャケット、過剰にタックを使ったパンツなどひねりを利かせたアイテムも登場する。またこのテーラリングは、様々なコラボによっても色付けされている。
「プロレタ リ アート」による刺し子のスーツは衣服にアーティスティックな要素を、「アシックス・スポーツスタイル」はスポーツテイストをプラスする。
そのほかスペインのシャツメーカー「カミサス マノロ」や「グンゼ」とのコラボも。これらは単なる装飾ではなく、構造、機能、そして身体性を再考する実験であり、それも含めて未来のテーラリングを提案している。



大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
おすすめアイテムはこちら











CANONICO AERO MAESTRO
イタリアの名門生地メーカー Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)と、2024年にサービス開始10周年を迎えた FABRIC TOKYO とのダブルネームにより誕生した特別な生地です。
ジャケット & パンツ
オーダーベスト
ネクタイ
ベルト
オーダージャケット
オーダーパンツ





