
ミラノファッションウィーク 2027 春夏|メンズファッションの最新トレンドを現地からお届け
2026年6月19日〜23日開催の「ミラノファッションウィーク」。
ものづくりとファッションの国、イタリアで発表された最新のトレンド情報をお届けします。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
2026年6月19日から23日まで2027春夏ミラノメンズファッションウィークが開催された。
イタリアファッション協会の発表によると、今シーズンは、ランウェイショー17件、デジタルショー7件、プレゼンテーション49件、イベント10件、合計83のイベントが開催された。前シーズンに続き、ショーは少なめで、プレゼンテーションが多くを占めた。
これはショーを男女統合にしてウィメンズファッションウィークで発表する世界的な傾向と共に、製品を近くで見て実際に触れられるプレゼンテーションにおいて、イタリアの物作りの強さを見せるための戦略でもありそうだ。
全体的な流れとしては、テーラリングを軸としながら、軽さや柔らかさ、機能性への追求が見られた。
優しいトーンのカラフルなスタイルや、フェミニンまたは装飾的な要素、そしてシーズンを反映したバカンスやリラックスムードも流れていた。
そして、そんな雰囲気をブランドそれぞれが独自のルーツや強みを生かしながら解釈して表現していた。
さて、ここでは特に気になったショーとプレゼンテーションを個々にフォーカスしてみよう。
●プラダ(PRADA)

トレンドセッターとして毎シーズン注目が集まるプラダが打ち出したのは、オーバー&リラックスなトレンドに相反する、シンプルで直線的なスキニーシルエット。装飾や誇張を排除し、研ぎ澄まされたスタイルを提案した。

普遍的なメンズワードローブを意外な素材やコーディネーションで表現し、ディテールにはフェミニンな要素やレトロな雰囲気も取り入れた。
例えばテーラードジャケットにデニムのセットアップのコーディネートや、ニットベストをライダースジャケットに重ねるレイヤードスタイル。またはGジャンのデザインを、ウールやシースルーのナイロン生地など意外な素材で展開。

ラウンドカラーやくるみボタンなどフェミニンな要素や、カラフルな色合いや幾何学パターンを組み合わせたスタイリングも。
またウエストに巻いたスカーフ使いやフックで付けるタイプのバッグなど独特なアクセサリー使いも見られた。

●トム ブラウン(Thom Browne)
アメリカの黄金時代のファッションスタイルに着想したコレクションで知られるトム ブラウンは、久々にミラノでのショーを開催。
涼感ウール、テクニカルナイロンのシアサッカー、コットン、ウールピケなど軽量化した素材使いと、ノースリーブや半袖、スリット使いや裏地無しの仕立てで軽やかなレイヤードテーラリングを展開した。

養蜂ベールの付いたハット、パッチワーク、アップリケや刺繍によって描かれた虫や植物の装飾がプレイフルに春夏の雰囲気を盛り上げる。
カラーパレットはお馴染みの赤、白、青はやや控えめに、白やパステルカラーを多用し、チェックやストライプなどの柄ものを組み合わせてレイヤリングして明るい雰囲気を醸し出した。


●ポール・スミス(Paul Smith)
1980年代にはすでにテーラリングにくずしを入れた提案をしていたポール・スミスが、スーツを日常生活のあらゆる場面で使用し、時間とともに個性を帯びていく服として再解釈。
スーツのまま海で遊んでいた祖父の姿や、葡萄収穫の作業を手伝ってシミが付いた自分のスーツなどの個人的な記憶がきっかけとなったとか。
トロピカルウィーブ、シアサッカー、シルク羽二重など柔らかい素材を使用し、裏地なしで仕上げたテーラリングを、袖は折り返し、ネクタイは緩く結び、シャツのボタンは外し、片襟だけ出すなど、ノンシャランなコーディネートで展開する。

さらに帆船や貝殻、コインをモチーフにしたチャーム、スカーフやチーフなど遊び心溢れるアクセントが加えられている。


●セッチュウ(Setchu)
大の釣り好きとしても知られるデザイナーの桑田悟史がしばしばデザインソースとして用いる釣りの要素を、今回は漁網や魚のモチーフでテーラリングに生かした。
ガボン共和国の豊かな漁場に思いを馳せて手作りした、日本の伝統的な結びの技法である“真結び”によるカラフルなレザーコードをスーツやドレスの上に合わせることで独特の雰囲気を出す。
また円と長方形の融合を追求し、円形のカットアウトを各所に施したアイテムや、曲線のラインを生かした裁断が見られた。


“祭”の柄が描かれたスカーフや畳を用いたライダースジャケット、袴のようなプリーツスカート、そして足元には下駄を合わせ、日本的な要素との“折衷”をアップデートしていた。

●ブリオーニ(Brioni)
ローマの紳士が体現するライフスタイルを、歴史地区、アッピア旧街道沿いの田園風景、テベレ川などを連想させるロッソ ローマ、トラバーチンベージュ、コラムホワイト、ユーカリプタスグリーン、トレヴィブルー、ミッドナイトブルー、コーラルなどのカラーパレットで構成したローマらしいエレガンスにあふれるコレクション。
ウエストをシェイプしたブレザー、ラペルを広めにボタン位置を低めにしたジャケットやノーラペルのジャケットなど気負わずとも色気のあるテーラードを提案する。


ジャケットとカーディガンを融合させた「ジャーディガン」やサリアナジャケットやトラベルジャケットなど、軽くて快適性に富んだカジュアルアイテムも。

また、シャツやニットから小物に至るまで、幅広いカテゴリーでパーソナライゼーションができるシステム「ブリオーニ マエストリア」を発表。カスタマイゼーションの「ス・ミズーラ」とパーソナルオーダー「アルタ サルトリア」の2カテゴリーで展開する。
●ダンヒル(dunhill)
故英国人写真家スノードン卿、ロジャー・ムーアや、ルシアン・フロイドなど多面的な魅力を備えた英国紳士たちの人物像をシネマティックな視点で表現したコレクション。

希少なエスコリアルウール、デュピオーニシルク、ウーステッドカシミヤパナマなどを用いたダブルのテーラリングが登場。ドレーブカラーのレザーやスエード、リネンのオーバーシャツ、スエードのカーコートなどスポーティなスタイルも揃う。


また30年代に作られていたテーブルライターに施されたトランプのモチーフをあしらった、遊び心溢れるイブニングスタイルも展開された。
●ラルディーニ(Lardini)
今シーズンは幼い頃に小石を集めたような、収集、観察、選択という本質的な行為がキーワード。
注意深く観察し、厳選した様々な要素をミックスさせながら、プロポーションは柔らかくリラックスしつつ、クリーンなラインでコレクションを展開。
サンド、ダスト、石灰岩のベージュ、深い青、ウォッシュドトーンなどのカラーパレットに、鉱物の表面や天然顔料の質感のような有機的なニュアンスを素材で表現している。
●イレブンティ(eleventy)

創業当初から「スマートラグジュアリー」というコンセプトを掲げるイレブンティは、来年ブランド創立20周年。
これを記念し、2つの特別なカプセルコレクションを発表。
ひとつはフォーマルとインフォーマルが完璧なバランスで共存するデニムライン「インディゴブルー」。
もう一つは、エネルギー、ダイナミズム、そして動きやすさを表現しつつ、個性的なスタイルもアピールするテクニカルでスポーティなウェアのシリーズ「アクティブモーメンツ」。
また本コレクションは、ヴェネツィアを着想源に、チェリーレッド、マスタード、ミリタリーグリーン、メディテラニアンブルー、ヘーゼルナッツ、テラコッタと言った深みある色を使って、現代的なシルエットとゆったりとしたボリューム感で表現。
マオカラー、着物風ジャケット、ノーラペルジャケットが登場。レザーやスエードのフィールドジャケット、トレンチコート、リネン、コットン、シルクの混紡なども充実。

大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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