
ピッティウオモ 2027 春夏|メンズファッションの最新トレンドを現地からお届け
2026年6月16日〜19日に開催された、世界最大級のメンズファッションの見本市「ピッティ・ウオモ」から最新のトレンド情報をお届けします。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
世界最大級のメンズファッション見本市「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ・ウオモ)」が2026年6月16~19日、イタリア・フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソにて開催された。
第110回となる今回は、740以上のブランドが出展、そのうち約44%は、30か国以上にわたるイタリア国外からの参加。
かつての“クラシコイタリア”の聖地だった「ピッティ・ウオモ」は、国際色豊かに路線を切り替え、メンズファッションの新プロジェクトのお披露目や、アップカミングのデザイナーの世界的発表の舞台としての重要な役割を果たしている。

それを象徴するのが、話題のブランドをスペシャルゲストとして招聘して行われるランウェイショーやイベントだ。
今回のゲストデザイナーは、二宮啓が手掛けるドーバー ストリート マーケットのプライベートブランド「ディーエスエム ケイ ニノミヤ」と、初のメンズ単独ショーとなる「シモーン ロシャ」。
「ディーエスエム ケイ ニノミヤ」は、博物館へと改装工事中の旧修道院サントルソラにてショーを開催。
「OUR PUNK(私たちのパンク)」をテーマに、パンクコミュニティのアイコンたちとコラボし、パンクの精神を現代風に独自のやり方で表現した。

安全ピンがあしらわれたライダースジャケット、ピンバッチを一面に付けたメッシュトップス、スローガンの書かれたTシャツなど象徴的なパンクの要素を盛り込みながらシルエットやディテールでモードに昇華。
社会的な慣習にとらわれず自分自身のアイデンティティを創造する自由なスタイルを提案した。

「シモーン ロシャ」は、ペルゴラ劇場にて初のメンズショーを発表。

テーラリングやシャツ、ニットなどサルトリアルの要素を軸としつつ、刺しゅう、チュール、ラッフル、フラワーモチーフなどシモーンらしい甘いテイストを盛り込んだ。

またエプロンやピナフォアなど作業着的要素を用いたり、衣装トランクの裏地の花柄やフィレンツェの風土からの着想を得た素材やディテールで、伝統や生活感、時間や場所の感覚を表現し、新しい男性像を描いた。
さらにスペシャルゲストである韓国ブランド「ジヨン キム」はイベントを開催し、“サンブリーチ”という、日光に当てることで時間の経過とともに色が変化する効果で独自の柄を生み出す工程を紹介。

また、コペンハーゲン・ファッション・ウィーク創設20周年記念のスペシャルプロジェクトとして「サンフラワー」のランウェイショーも開催された。

さらに、I:Cピッティ・イマージネ・アワード2026を受賞した「ウィリアム・パルマー」もコレクションを発表した。

今回も日本のブランドの出展ラッシュが続いた。
そのパイオニア的存在「Jクオリティー」では、「エドウィン」のファクトリーブランド「スキュー(SKEwed)」が初登場。
すべて自社工場で仕上げたプレミアム感のあるラインを展開した。
また、メード・イン・岐阜の、自転車をモチーフとしたカジュアルスタイルブランド「ケッタ(KETTA)」や、日本の伝統を革新的に製品化して世界に向けて発信する「カヴキ(KAVKI)」が今回初登場。
さらに前回初出展して成果を上げた「土屋鞄」や「アシックスウォーキング」も継続してコレクションを発表した。
会場全体の流れは、目新しいトレンドではなく、内なる自分らしさや快適さを追求した機能的なエレガンスが主流だ。
テーラリングはきちんと抑えつつ、薄く、軽く、しわにならない素材や、ジップやゴム、ドローストリングスなど快適なディテールを使用する。

シンプルで抑え目な傾向は続いており、織りや加工によって表情のある素材、または触感や視覚に訴えるような立体的素材、マイクロ柄で無地のように見える柄など、ニュアンスのある素材が多く、洗いや染めによるヴィンテージテイストもより進化している。

また今や高級素材となったリネンや、薄めのスエードなども今シーズン多く見られた素材だ。
シーズンごとに劇的な変化をさせないのが流れとなっているので、色も前シーズンのトレンドカラー、ブラウン系やボルドー、グリーンなどからの流れで、それを春夏用にベージュ、サンドカラー、ピーチ、アプリコット、セージグリーンなどソフトでマットなニュアンスカラーに。

また着回しができるアイテムに注力し、着こなしの自由さの提案もなされていた。
アウトドアやカジュアルなシーンだけではなく、テーラードジャケットとしても使えるようなエレガントなフィールドジャケットやシャツジャケット、またはデニムやインディゴのクラシックなスーツなど。

キャッチーなトレンドより経年劣化の味わいを求め、無理して装うより快適さを重視、そして良いものを自由に自分らしく着こなす、というのが今のムードなのかもしれない。
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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