【2024年】ピッティ・ウオモ|現地取材シリーズ #1

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2024年の1月に開催された、「ピッティ・ウォモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全10回にわたってご紹介します。

取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。

ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。

※全シリーズをご覧になりたい方はこちら


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Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

2024年1月9日から12日まで、第105回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ)」が、フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催された。

「ピッティ」とは毎年、1月と6月に開催されている世界最大級のメンズファッション見本市だ。ハイブランド達による最先端のトレンドはミラノやパリで発表されるコレクションが先導するとはいうものの、実際にバイヤーたちが買付レベルで注目しているのはこちらで、「ピッティ」こそが次の流行に直結しているといえる。

また、会場に集まるお洒落ピープルたちのスナップも名物となっており、それを見るためにここを訪れる人もいるほど。色々な意味で注目が集まる紳士服の祭典なのだ。ちなみに、「ピッティ」協会の報告によると、今回の出展ブランド数は835で、総来場者数は 約2万人だったとか。

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Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

「ピッティ」は毎回テーマを掲げているが、今回は「PITTITIME」。“ファッションの流れという意味での時間”を考察する、ちょっと哲学的なテーマを掲げた。それに因んで、エントランス部分には数字時計、メイン会場前の広場にはデジタル時計のインスタレーションが展示されていた。

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Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

また、見本市会場での展示だけでなく、旬の招待デザイナーによるショーやイベントも「ピッティ」の目玉となっている。今回のゲストデザイナーである、ルカ・マリアーノとスティーブン・ストーキー・デイリーがショーを開催した。

そして、「ウールリッチ」のクリエイティブ・ディレクターとなったトッド・スナイダーが、新コレクション「ウールリッチ ブラック レーベル」を自身のコレクションと一緒に発表。またアキレス・イオン・ガブリエルが自身の名を冠したブランドのデビューとなるショーも行われた(これらの詳報は第三弾の記事にて)。

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Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

全体的な傾向としては、多くのブランドがクラシックながらそのルールを少し崩し、軽めでモダンな解釈を加えることで新しいドレススタイルを提案している。

クワイエットラグジュアリーのトレンドもあり、上質なモノづくりを重視してテーラリングに重きを置きつつ、それと相反する要素のアイテムをあえてコーディネートしたり、シルエットやディテールにカジュアルなテイストを入れたり、または軽さや着やすさなどの実用性を追求する方向に向かっているようだ。そしてその一方でカジュアルなアイテムにも高級素材を使用したものも多い。

そんな中から、まずはテーラリングに注力したいくつかのブランドを見てみよう。

イタリア・ソラーニャ(パルマ)発の高級ファクトリーブランド「カルーゾ」は「British Aristocracy(英国貴族)」をテーマに、英国調テイストを意識した大胆かつ洗練されたコレクションを展開。

スリーピースやミリタリーコートなどの英国の伝統的なスタイルから、トラベルジャケットやベストなど英国カントリースタイルを連想させるカジュアルアイテムまで揃う。それをスーパー130のフランネルや、ウール/ナイロン混など、軽く機能的な素材を使用して仕上げている。

カラーパレットには王道のグレーやネイビーに加え、ブラウンを中心とした暖色系を多く揃えつつ、差し色としてラベンダーやローズピンクなどを使用したり、大柄の花モチーフをジャケットやシャツに施すなど、イタリアらしい遊び心をプラスしたコレクションを提案していた。

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Courtesy of:CARUSO

ナポリの名門サルトリア、アットリーニ家の長男ヴィンチェンツォ・アットリーニが2004年に立ち上げ、今年20周年を迎える「スティレラティーノ」は、ピカソが晩年を過ごしたムージャン(コートダジュール)を描いた色使いからのインスピレーションでコレクションを製作。

その色使いを反映するために生地を企画するところから始めたという。アースカラーをメインにしつつ、黄色やオレンジの差し色が裏地やチェックの一部にもさりげなく使われているのが特徴的だ。

テーラリングにはこだわりつつも、シャツジャケットやニットを主役にしたコーディネートも提案し、カジュアルに寄せている傾向がみられる。

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イタリア・マントヴァの老舗紳士服メーカー、ルビアム社のファーストライン「ルイジ・ビアンキ・マントヴァ」は、第一次大戦後の英国を舞台に、ギャングと警部の戦いを描くドラマシリーズ「ピーキー・ブラインダーズ」をテーマに、英国風ダンディスタイルをモダンに表現。

ダブルブレストのジャケットやスリーピースのスーツに細めシルエットのパンツ、小物としてハンチング帽やチーフをコーディネートするなど英国調のテーラードスタイルをメインに提案。トーンはキャメル、サンド、ブラウンなどのナチュラルカラーをメインに、これまではあまり使わなかったグリーンを差し色に。

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またセカンドラインの「L.B.M.1911」では、「コルト・マルテーゼ」という、同名の主人公が活躍する海洋冒険モノのイタリアの漫画をテーマに、アクティブな人に向けたワードローブを展開する。

特にニットが大きな役割を担い、セーターからジャケットまで様々に展開。カレッジテイストのスタジャンやフーディ、スニーカーなどカジュアルなアイテムも登場していた。

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取材・文/田中 美貴

大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。

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