【2024年秋冬】ピッティ・ウオモ|現地取材シリーズ #2
2024年の1月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全10回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
年明け1月9日から12日まで開催された第105回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ)」のレポート第二弾。
今回は835ブランドが参加しているが、そのうち43%が外国ブランドだったとか。日本から参加するブランドも年々増加がみられ、その注目度もアップしている。
Courtesy of:Pitti Immagine Uomo
中でも今回3度目の出展で、着々と成果を挙げているのが「Jクオリティ」。これは織り・編み、染色整理加工、縫製といった全ての生産工程が日本製であることを証明する表示制度で、これをクリアした会社たちの統一ブランドとして、日本のアパレル産業の需要を増やし、繊維・縫製産地を維持、活性化すべく世界に向けて発信している。
ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文氏を総合アドバイザーに、「ユーゲン」を手掛ける小山雅人氏をデザインディレクターに迎え、「伊藤メリヤス工業(Kisukè)」、「大河内メリヤス(IDEAL Pull-over)」、「サンテイ(Teclor)」、「サンライン(in-a Ka-Date)」、「サンエース(dDDD)」、「ナカノアパレル」、「宮田毛織工業(COUPER ET COUDRE)」、「内田染工場」、「山陽染工」、「第一ニットマーケティング(trenta settanta)」、「マルチョウ(GOODPEOPLE GOODSTITCHING GOODPRODUCT)」、「丸和ニット(Balancircular)」の12社が製品を発表した。
「モダンクラシック」、「ジオメトリック」、「アースカラー」という3本のアプローチで、スタイルはクラシックなものをサイズ感、素材、色などでモダンに、テクスチャーやプリントにはジオメトリックを活かし、キャメル、オフホワイトなど冬の季節に合うような暖かい色を多用したコレクションを展開した。
また、前回に続き、日本の皮革関連産業、日本製の靴産業の海外展開促進のための経済産業省の取り組みとして、日本から靴メーカー4社が参加。「エイチカツカワ」、「リーガル シュー&カンパニー」、「NUMERO UNO」、「ブライトウェイ」がそれぞれのブースで展示を行った。
今回初登場の「ブライトウェイ」は、「10年後も愛せる一足」をモットーとしたシンプルなデザインを提案。「ピッティ」のために開発した、墨流しというマーブルの技法を駆使した京都レザーの靴が特に注目を浴びていた。
「ピッティ」初出展としては、デザイナー古田泰子による「トーガ」のメンズライン「トーガ ビリリース」が、シューズのみの展示を行った。フォルムはクラシックながら、素材にはハードなレザーを使い、メタルアクセサリーをあしらってツイストを効かせている。
一方、「ピッティ」ではお馴染みとなっている日本ブランド達も健在。日本が誇るスポーツアパレルメーカー「ゴールドウイン」は機能性はもちろんファッション性もアップした新作を揃えた。
カラフルな新色も加わったパーテックス カンタムダウンパーカ、より防寒性がアップした、ゴアテックス900フィルパワーダウンジャケット、軽量なのに保温性の高いゴアテックスウインドストッパーなどが登場。
Courtesy of:GOLDWIN
「ナナミカ」は「心を満たすライフテックウェア」を大テーマに掲げ、3つのシーンを想定。
一つは耐久撥水加工Pertex®Unlimitedを使用した新デザインのフィールドジャケットなど、都会で働くクリエーター向け、二つ目はコットンウールボイルウェザーのセットアップやリサイクルナイロンのリバーシブルジャケットなど、マリンテイストを意識した休日のリラックススタイル、最後は「ナナミカ」の定番素材カバーリングコアヤーンをリサイクルポリエステルやオーガニックコットンでアップデートさせた、様々なシーンで使えるアイテム達だ。
さて、「ピッティ」でも避けて通れないテーマとしてサステナビリティがあり、多くのブランドが関心を持って取り組んでいた。
ヨットをはじめとした海の世界にインスピレーションを受けたラグジュアリー&スポーティブランドとして知られ、中でも早い時期から大々的にこのテーマにフォーカスしている「ポール&シャーク」は、「アウトドア」をキーワードに、テクノロジーとテーラリングをミックス。
特に高い通気性と耐寒性を誇るパーテックス素材を、超軽量、防水性、耐久性を高めるために 独占的にデザインしたタイフーンパーテックスは目玉アイテムだ。
Courtesy of:PAUL & SHARK
また2009年のデビュー以来、特に海洋ゴミのリサイクルに注力し、地球環境を無視した自然資源を使用しない製品作りを行うスペイン発のブランド「エコアルフ」も大きなブースを構えて新作を発表。
糸の紡績中に着色染料をリサイクル ポリエステル ペレットと混合することで、化学薬品の使用を削減し、染色プロセスを完全に排除して水の消費をゼロにするダイド・ドープコート、90%天然成分と100%天然染料で作られたビブラムソールのスニーカー、リサイクル ナイロン 100% とリサイクル ポリエステル 100% を使用したパッド入りのショルダー、トート、バケット バッグなどが登場。
Courtesy of:Ecoalf
そして今シーズンもニットが相変わらずの勢いを放っていたことも特筆したい。
イタリア・ボローニャ発の老舗ニットブランド「ロベルトコリーナ」は、上質の素材にフォーカスし、様々なボリュームでジェンダーレスにコレクションを展開。
アルパカとカシミアのミックスや上質なメリノ、テディコートやモヘアなど立体感のあるアイテムやアニマル柄やカラフルなストライプが多数登場。
Courtesy of:robelt collina
イタリア・ジェノヴァを本拠地とし、今年30周年を迎えるニットブランド「アヴァントワ」は、原始的な自然にインスピレーションを得て、アイボリーからオート麦、アイスまでのニュートラルな色合いに、リバー、フォレストなどの深い色まで展開。
お得意のマーブルから、ニードリング、カモフラージュダイヤモンドステッチなど様々な技巧を凝らしている。
Courtesy of:Avant Toi
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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世界三大生地産地の一つである、イタリア北部ビエラ地方を本拠とする高級服地の織物メーカー。 1663年にテキスタイル(織物・布地)メーカーとして創業し、350年以上の歴史をもっています。近代的で大規模な設備によって、高いクオリティとコストパフォーマンスの良さを兼ね備えた生地を生産し、世界有数のハイブランドや高級テーラーから多くの信頼を得ています。
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FRATELLI TALLIA DI DELFINO(フラテッリ・タリア・ディ・デルフィノ)は、1903年にイタリアのビエラ地方ストローナで創業した生地メーカー。ビエラ地方は、豊富な水資源に恵まれた地で培った高い技術力と、最新設備で生産される生地は、比類なきものと称賛されています。歴史と伝統に裏打ちされたテーラーテイストのセンスと、現代のマーケットトレンドのアイデアを融合させたコレクションは、まさに、技術力とデザイン性の賜物といえます。
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