
ピッティウォモ2026|春夏の最新トレンドを徹底解説 #2
2025年の6月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全9回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
去る6月17日から20日まで第108回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ・ウオモ)」が開催された。フォルテッツァ・ダ・バッソの見本市会場での展示だけではなく、期間中には毎回大物デザイナーや、旬のブランドによるショーや特別イベントなども開催されるが、今回は通常より多めの、4本のショーが行われた。
そこでレポート第二弾では、ゲスト・オブ・オナーとして招聘され、6月19日に行われた「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE)」のショーとインスタレーションについてレポートする。
© ISSEY MIYAKE INC. / Photo: Astra Marina Cabras
「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」は、日本を代表するデザイナー、故・三宅一生氏のブランド「イッセイ ミヤケ」の派生ラインとして2013年にスタートしたブランド。同社の代表的技法のひとつである「製品プリーツ」を用いた機能的な高品質素材で、モード感がありながらも普遍的な日常着を提案している。
今回のピッティ・ウオモでの発表は、今後「OPEN STUDIO(オープンステュディオ)」という名の元、これまで訪れたことがない場所を巡って、ブランドが行うモノづくりの成果を発表していくという新しい活動のお披露目でもあった。
今回は、実際に新コレクションを発表するショーと、制作の裏側ならびにブランドが行うものづくりを紹介するインスタレーションで構成。
インスタレーションでは日本デザインセンター 三澤デザイン研究室と協業して、プリーツ素材を使用した作品群を展示しつつ、コレクションにおけるフィールドワークと研究開発の過程を披露して、プリーツという技法に秘められる可能性を示唆した。
© ISSEY MIYAKE INC. / Photo: Giovanni Giannoni
覆ったり、巻いたり、折ったり、重ねたりといった、素材に無理のない自然な手法から生地が自然に作り出す形を探求することで、プリーツがまるで彫刻のようになったオブジェが並ぶ。
またデザインチームがイタリア中を巡り、自然や街の中から集めた色を実際のコレクションに反映するまでのフィールドワークのプロセスも展示した。
© ISSEY MIYAKE INC. / Photo: Astra Marina Cabras
このインスタレーションとそれに続くショーは、フィレンツェの街を見渡す高台に建つメディチ家の別荘「ヴィッラ・メディチェア・デッラ・ペトライア」の庭園にて行われた。
コレクションは「Amid Impasto of Horizons (積み重なる地平)」がテーマ。“一本の筆を以て旅をする”という発想からスタートしており、インスタレーションで登場したイタリアの明るい色彩が、パレットそのものにのっているようなハンドメイド感溢れるプリントや、調色の際に生まれる、筆の毛先から根元にかけての自然なグラデーションを表現したプリントのシリーズとして登場する。
© ISSEY MIYAKE INC. / Photo: Giovanni Giannoni
そして色の採集に必要な道具を収納するというアイデアから生まれた、形と大きさの異なる機能性ポケットが特徴的なシリーズや、ガーメントバッグが洋服になったような遊び心のある作りで、着用しない時には折り畳めるパッカブル仕様の機能的なシリーズもある。
さらにリネンのような風合いを持ち、肌離れの良いさらっとした素材感が特徴のテーラリングシリーズや、ブランドの定番の二つボタンのジャケットに加え、新型のノーカラーロングジャケット、ロングダブルブレストジャケットなど、幅広いセットアップが揃ったシリーズなどテーラードテイストを重視したシリーズも展開された。
© ISSEY MIYAKE INC. / Photo: Giovanni Giannoni
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。











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