
楽天ファッション・ウィーク東京2026|春夏の最新トレンドを徹底解説 #1
2025年の9月に開催された、「楽天ファッション・ウィーク東京」のレポートをシリーズで全2回にわたってご紹介します。
取材は、イタリア在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、トレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
Courtesy of:JFWO
2025年9月1日から6日まで、「楽天ファッション・ウィーク東京」が開催された。
“ファッション・ウィーク”というと、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのものを連想しがちだが、東京でもそれらに並ぶファッション・ウィークが行われている。
例えば、特にパリやミラノは(それによる他業界へのビジネス収益への期待もあり)街をあげてファッション・ウィークを盛り上げようという姿勢があるが、巨大都市・東京ではこれだけに街が注力しているわけではない。
また日本の優秀なデザイナーたちがコレクション発表の場として海外(特にパリ)に移行するパターンも多く、ファッションに興味のない層からの注目度は他都市に比べるとイマイチなのが現状だが、実は日本から発信されるクリエーションは、世界からの注目度が年々アップしており、また内容的にも欧米のファッション・ウィークにひけをとらないものだ。
そこで今回は、東京のファッション・ウィークをレポートしたいと思う。
一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の報告によると、2026年春夏「楽天ファッション・ウィーク東京」には公式デザイナーショー20、パートナーシップショー3、インキュベーションショー1の計24のフィジカルショーが開催された。
Courtesy of:JFWO
同ファッション・ウィークは今シーズンで20周年を迎えるため、開催に先駆けて、スペシャルアンバサダーの宮沢氷魚、デザイナーの芦田多恵、丸山敬太、津森千里などを招いたアニバーサリーセレモニーも開かれた。
その際にはブランドサポートプログラム「JFW NEXT BRAND AWARD2026」グランプリ受賞の「ムッシャン(mukcyen)」、および特別賞の「ジュンワイ(Jun.y)」の授賞式も開催された。
期間中には、様々なスペシャルショーを開催。まずはアニバーサリーショーとして、ブランド設立35周年記念で7年ぶりとなる「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」と、創設者の故・平田暁夫の生誕100年を記念し「オートモード平田(Haute Mode Hirata)」がショーを発表。
ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)
前者は、イッセイ ミヤケで経験を積んだデザイナーの津森千里が1990年にスタートし、2003年からはパリコレクションに参加して世界的な人気を博してきた日本のファッション界きっての重鎮ブランドだ。
“感謝”というテーマで、「ツモリチサト」らしい花や魚、虹などのイラストやアップリケを施したり、“LOVE”、“DREAM”といったメッセージを入れたり、カラフルでハッピーなムードに溢れるコレクションを展開した。
オートモード平田(Haute Mode Hirata)
Courtesy of:Haute Mode Hirata
後者は、皇室やセレブなど世界中に重要な顧客を持ち、パリでのランウェイショーも飾ってきたハットブランド。
帽子を身につけるアートとして昇華させたブランドとして知られ、現在は創業者の娘・平田欧子、欧子の長女・平田早姫と長男・平田翔がデザイナーを務める。
Courtesy of:Haute Mode Hirata
ショーでは、彫刻的なフォルムのオブジェのようなハットやミモザを始めとする花をモチーフにしたハットが登場。
また廃棄されるはずだったねぶたの和紙や、京友禅の技法を応用し和紙をボンディングした京都レザーなど和を意識したものも。
衣装は「リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)」の岡﨑龍之祐、「ミスターイット(mister it.)」の砂川卓也、「タム(Tamme)」の玉田達也がサポートした。
さらに、冠スポンサーである楽天による、日本のファッションシーンを盛り上げ、その魅力を世界へ発信するプロジェクト「by R」として、「フェティコ(FETICO)」が設⽴5周年を記念するアニバーサリーコレクションを発表。
フェティコ(FETICO)
Courtesy of:FETICO
デザイナーの⾈⼭瑛美は、女性の造形美を強調する古典的なスタイルをコンセプトに、日本国内の繊維産地や職人と取り組みで生産。
タイムレスなヴィンテージウェアとして愛されるデザインとものづくりをモットーとするブランドだ。
今シーズンはドイツの芸術家レベッカ・ホルンと、ルーマニア系フランス⼈の写真家イリナ・イオネスコという先駆的な⼥性アーティストの作品を着想源に、5年目という節目においてブランドのアイデンティティを⾒つめ直した。
Courtesy of:FETICO
「自身の内⾯を強く映し出した、その創作への向き合い⽅に触れたことで、ブランドの世界観をより深く追求したいと感化された」と言う。
ホルンの作品に登場する⽻根や放射状のモチーフをフリンジやプリーツ、切り替えによって表現し、イオネスコの世界観を思わせる1920年代のランジェリーの要素やダマスク柄を各所にちりばめている。
Courtesy of:FETICO
桐生のジャカード織りで朱⾊の薔薇を浮かび上がらせたレーヨンドレスやスカート、透け感のあるジョーゼットのドレスやトップスなど、レーヨンフリンジを胸元に配したジャージーサテントップスなど、上質の素材やディテールが生きたアイテムで展開。
構築的なシルエット、オーガニックコットンを使⽤したロマンティックなデニムシリーズも登場した。
ショー会場には、日本発のホリスティックビューティーブランド「スリー(THREE)」との共同開発による特別な⾹りの演出がなされていた。
そして、前出の「JFW NEXT BRAND AWARD2026」グランプリ受賞の「ムッシャン(mukcyen)」は、ファッション・ウィークの初日に幕開けとなるショーを発表。
ムッシャン(mukcyen)
Courtesy of:mukcyen
日本生まれ、中国育ちのデザイナー・木村由佳が、デザイナーブランドで経験を積んだのち、2023年に立ち上げた新進気鋭のブランドだ。
先日、世間を騒がせた2025年7月5日に日本で災害が起きるという予言からの着想で、“世界が終わるかもしれない”という恐怖を、“それがいつ起こってもおかしくない”いう日常に落とし込み、ダークネスな中に実用性をプラスした独特の世界観を表現した。
Courtesy of:mukcyen
緊急事態の発生が家にいる時であることを想定したような、キュプラ地を重ねたセカンドスキン、コットン地のジャンプスーツなど部屋着のような着心地の良いアイテムが多い。
そんな中にジャンプスーツはジッパーでフォルムを変えられるようになっていたり、ジャケットは合わせの部分から骨折した際に手が出せるようになっていたりと、非日常的に対応するようなディテールが施されている。
また甲骨のようなメタルメッシュや体に巻きつけたハーネス、またはコルセットをコーディネートしたルックも登場した。
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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