【2024年】展示会(前半)|ミラノ現地取材シリーズ
2024年の1月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全10回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ファッションをより楽しんでいただけるような、24年〜25年秋冬のコレクションのトレンド情報をお届けします。
ファッションウィーク中は、ランウェイショーだけでなく、沢山の展示会も行われる。イタリアは素材やモノづくりの土壌がある国だからか、実際に手に取って製品をみてもらうことに重きを置くブランドも多く、他都市のファッションウィークに比べ、ミラノでは展示会形式で発表するテーラーブランドが充実している。そんなブランド達について、今回はレポートしてみたい。
まず、スーツ界の最高峰と言われる「ブリオーニ」。映画「007」シリーズでジェームス・ボンドが同ブランドのスーツを着用したことでも有名だ。1945年創業の老舗だが、実は創業当時からかなり革新的で、初めてメンズのファッションショーを開催したブランドでもあり、英国仕立ての重いスーツが主流だった時代にエフォートレスで軽いスーツを提案していた。
今もその流れを受け継ぎ、軽さと快適さを重視しつつ、時代に合うスタイルを作り続ける「ブリオーニ」は、今シーズン「The culture of human touch (ヒューマンタッチの伝統文化)」というテーマでコレクションを発表。ミラノ文化協会のある歴史的建造物にて展示会を開催した。
テーラリングはより軽くシンプルに、その一方でスポーツウェアには仕立ての技術を取り入れ、軽さ、 快適さ を探求しつつ、 精巧さとエレガンスを強調する。加えてトレンチコート、レザーのディテールを施したジャケット、軽量ダウンやスポーティなフィールドジャケットなどのアウター類が充実。フォーマルにも着こなせるニット類や着まわしのきくシャツジャケットも多数登場した。それをゆったりしたタック入りのパンツやサイドシームの入ったスポーティなパンツに合わせている。
Courtesy of:BRIONI
1938年にミラノ近郊のトリウッジャ(モンツァ)にて創業した「カナーリ」も、世界に知られる老舗テーラーブランドの一つ。早い時期から機械による裁断を取り入れた革新的な会社で、テーラリングの伝統は守りつつ、最近ではカジュアル&スポーティなアイテムにも力を入れている。
「カナーリ」は通常、10人前後のフィッティングモデルたちが交代しながら壇上に立つスタイルで新コレクションを発表しており、コーディネーションの提案もわかりやすい上、製品も比較的近くでゆっくり見られるのが好評だ。
今シーズンは、モンツァ近郊にある本社の自然に囲まれた環境からのインスピレーション。ネイビーやグレーなどの定番色に加え、ダークブラウンやベージュ、ダークグリーンなどアースカラーやボルドーなどの差し色を加えた、自然を意識した色使いがなされている。コレクションは「アウターテーラリング」、「チェック使い」、「コッコーニング(包まれるような感触)」という3つのキーワードで構成。
まず「アウターテーラリング」ではブルゾン、コート、ジャケットやサリアナジャケットなどのアウター類を、ルーズなシルエットで提案。ボリューミーシェイプのトレンドを反映してモダンに仕上げている。次の「チェック使い」とは、キーパターンとしてチェックにフォーカスし、これまでは主にマフラーなどの小物類で使っていたパターンをブルゾンなどにも使用。そして「コッコーニング」では、ブクレ素材やボンディング加工など表面に立体的な表情のある素材を使った、秋冬コレクションらしい包み込まれるような暖かさを醸し出すアイテムが多く登場する。
一方、2006年創業の「イレブンティ」は、テーラリングとイタリアらしいモノづくりや素材にこだわった、コンテンポラリーなデザインで知られる。創業者たちが服飾業界でエージェントをしていた経験を活かして立ち上げたブランドだけに、トレンドをほどよくコレクションに取り込むのがうまく、消費者が本当に必要とするアイテムを揃えている。
今シーズンは、カシミアとニットなどの上質な素材の組み合わせによるデュアルマテリアルの提案や、リバーシブルのジャケットやコートが登場。リラックスしたシルエットのジャケットやシャツジャケット、ブレザーやニットにソフトなフィット感のコットン、フランネル、ベルベットのパンツを合わせている。
ダブルのスーツにウエストポーチ、タイドアップスタイルの足元にはサンダル、またはデニムのトータルスタイルにジャケットを合わせたコーディネートなど、フォーマルにカジュアルの要素を入れ込んだくずしのスタイルも提案。カラーパレットはホワイト、ハニー、マリンブルー、アッシュグレーなどのニュートラルで安心感のあるトーンのカラーに、明るめのセージグリーンやグレーブルーなどのニュアンスカラーをプラス。 そして、バローロ(ワインレッド)を差し色として効かせている。
また、「マスター&ダイナミック」との協業による2 つの ハイファイヘッドフォンや、イギリスのラグジュアリーライフスタイルブランド「マルベリー」とのコラボ第二弾となるメンズ・ウイメンズのカプセルコレクションといった、コラボレーションコレクションも発表した。
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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CANONICO PREMIUM WOOL
世界三大生地産地の一つである、イタリア北部ビエラ地方を本拠とする高級服地の織物メーカー。 1663年にテキスタイル(織物・布地)メーカーとして創業し、350年以上の歴史をもっています。近代的で大規模な設備によって、高いクオリティとコストパフォーマンスの良さを兼ね備えた生地を生産し、世界有数のハイブランドや高級テーラーから多くの信頼を得ています。
FRATELLI TALLIA DI DELFINO PREMIUM WOOL
FRATELLI TALLIA DI DELFINO(フラテッリ・タリア・ディ・デルフィノ)は、1903年にイタリアのビエラ地方ストローナで創業した生地メーカー。ビエラ地方は、豊富な水資源に恵まれた地で培った高い技術力と、最新設備で生産される生地は、比類なきものと称賛されています。歴史と伝統に裏打ちされたテーラーテイストのセンスと、現代のマーケットトレンドのアイデアを融合させたコレクションは、まさに、技術力とデザイン性の賜物といえます。
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