【2024年】展示会(後半)|ミラノ現地取材シリーズ

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2024年の1月に開催された、「ピッティ・ウォモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全10回にわたってご紹介します。

取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。

ファッションをより楽しんでいただけるような、24年〜25年秋冬のコレクションのトレンド情報をお届けします。


前回、ファッションウィーク中はランウェイだけではなく、展示会形式でコレクションを発表するブランドも多いということに触れたが、一口に展示会といっても、商品だけを展示するブランド、商品とフィッティングモデル両方で見せるブランド、カクテルパーティを兼ねたイベント形式で行うブランドなど様々だ。今回はユニークな趣向でコレクションの発表を行ったブランド達についてレポートする。

まずは、1978年にフィロットラーノ(アンコーナ)にて創業したファクトリーブランド「ラルディーニ」。世界的一流ブランドのOEMを行っていたが、1998年よりオーナー兄弟のファミリーネームを冠した自社ブランドをスタート。その確かなモノづくりと、現代的なセンスでローンチ当初から人気を博し、いまや最も重要なメンズブランドの一つとなっている。

長年ピッティ・ウオモにて新作を発表していたが、数年前から発表の場をミラノに移し、今回は全方向の景色が見渡せる50年代にできたミラノ初の高層ビルの最上階で展示会を行った。生演奏のバンドも入ったカクテルパーティを兼ねており、展示作品をかなり少なくした斬新なスタイルだった。

今シーズンは「Elegance is a perpetual Evolution(エレガンスは永遠の進化)」というテーマで、クラシックなテーラリングをボリューム感、ディテールや色などで現代的にアップデートさせた。オーバーボリュームのダブルのジャケットにウール・ポリエステル混のスカーフ付きシャツをあわせたり、テーラードコートにフーディを合わせたコーディネート、そして足元にはアンクルブーツをあわせてクラシックにカジュアルな要素を入れ込み、真っ赤なミリタリー用生地のオーバーレングスコートや、シャツジャケット、軽量のニット類など、モダンなアイテムが多数登場した。

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Courtesy of:LARDINI

そして、今シーズンは「イザイア」が5年ぶりにファッションウィーク中にイベントを行った。「イザイア」は1920年代初頭に服地店からスタートし、1957年に紳士服の仕立てを開始、そして現在では、ナポリ仕立ての代表的ブランドとして知られている。

今回は元教会を改装したクラブにて初のミニランウェイショーを開催。数あるナポリブランドの中でも、特に“ナポリ色”が強い「イザイア」らしく、厄除の象徴としてナポリのシンボルとして知られる唐辛子で一面を飾った舞台演出。来場客はドリンクを片手にショーを観覧、そしてショーの後には、生バンドによるナポリ民謡のミニライブも行われ大盛況となった。

コレクションも80年代の活気に満ちたナポリからのインスパイア。テーラードテイスト溢れるクラシックなアイテムが鮮やかな色や大胆なモチーフで展開される。定番色のネイビーやグレー、ブラウンに加えて、「イザイア」のシグニチャーカラーのレッド、サンゴ、ホワイト、そして差し色としてレモンイエローやライトパープルなどを使用。

また、チェックでトータルコーディネートしたルックも登場する。スーツの代わりとなるブルゾンとパンツのセットアップや、スーツにはタイドアップではなくタートルを合わせたり、パンツはドローストリングスのパンツを合わせてカジュアル要素を入れ込む。また生地を縮絨して防水性と起毛感を持たせたカセンティーノから、シアリング付きのレザージャケットやスエードのトレンチ、ニットに至るまで、カジュアル&スポーティなアイテムも豊富に揃った。

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Courtesy of:ISAIA

職人技の効いた上質の靴やバッグなどの革製品が特に人気だが、2006年以降はウェアも含めてトータルファッションとして展開している「トッズ」。いつも展示会場として使用している1930年代の実業家の元別荘で今回も展示会を開催。「マテリア(素材)」というテーマで、素材、特にウェアの生地にフォーカスした。故にフィッティングモデルも通常より多めで、会場では職人が実際に縫製作業をする様子や、仕立て職人の作業風景を影絵風の映像にしたインスタレーションに注目が集まった。

今回のコレクションは、テーラリングに重点を置き、クラシックなスーツやチェスターコート、トラウザーなどが揃った。カジュアルアイテムは、ウールデニムのブルゾンやローゲージニット、表革のディテールを効かせたスエードブルゾン、さらにパシュミー プロジェクトというリサーチによって生まれた高級素材による、撥水・防汚加工を施したボンバーが登場。シューズはスエードのW.G.ブーツや、アフタースキーのイメージでレザーにシープスキンをトリミングした新作ブーツ、また毛足の長いファーやクロコダイル、新素材のカシミアソフトレザーなどウェアの素材を反映したゴンミーニ バブル、アーバンスニーカーなどで展開。バッグは、テクスチャードレザーなどを使ったディーアイ バッグが登場した。

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Courtesy of:Tod's

ミラノを拠点とする日本人デザイナー桑田悟史による「セッチュウ」。2023年にはLVMHプライズのグランプリに輝き、今、世界中から熱い注目を集めている。展示会場となったのはクラシックな小さなバールで、モデル達は来場客の一部になっているようなナチュラルな演出がなされている。

今シーズンのテーマは「THE LIMINAL SPACE WHERE IS BORDERLESS(境界のない限界空間)」。ソフトなタータンチェックのモヘア、 極太の糸で深い畝を表現したウールツイルギャバジン、張りのあるデニムなどに加え、超軽量の紙とサトウキビのリサイクル繊維や、洗濯機で洗えるジャカードカシミア、沖縄で作られたペーパーオックスフォードなど、ユニークな素材たちが登場。同じ色でも素材によって異なった色合いになることの面白みを活かし、トーンスタイルやレイヤードでのコーディネーションを提案する。またアクセサリーにも注力し、折り目や切り込みを入れることでクロスボディとして手首に付けたり、ベルトのようにウエストに付けられるラムスキンのバッグも登場した。

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Courtesy of:SETCHU

取材・文/田中 美貴

大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。

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