ピッティウオモ2025春夏|現地取材で見えた最新トレンドを解説 #3

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2024年の6月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全8回にわたってご紹介します。

取材は、今回も現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。

ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。

※全シリーズをご覧になりたい方はこちら


去る6月11日から14日まで開催された第106回「ピッティ・イマージネ・ウォモ(以下ピッティ・ウオモ)」のレポート第三弾。

「ピッティ・ウオモ」では毎回、大物デザイナーや旬のブランドによるショーやプレゼンテーション、特別イベントなどが開催されるのも見どころの一つとなっているが、ここでは今回の「ピッティ・ウオモ」で開催されたスペシャルイベントを時系列で紹介する。

初日の11日には、イギリスを代表するデザイナー「ポール・スミス」が、スペシャルイベントとして、普段はパリで発表している新コレクションを今回は「ピッティ・ウオモ」で発表。

本ラインの発表は、1993年に最初のゲストデザイナーとして招待されて以来31年ぶりで、本人の登場は2017年に「PS ポール スミス」のイベントを行って以来だ。

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

会場となった19世紀の貴族の私邸を1960年代にポールがソーホーで通っていたイタリアンカフェ風に仕立て(その名も「バー・ポール」)、そこでコレクションを着用したモデルと共に、本人自らが一体一体を解説する形でプレゼンテーションを行った。

コレクションはソーホーのアーティストたちの夜の集いをイメージした、自由でノンシャランな雰囲気。

英国の伝統的テイストの千鳥格子やチェックのジャケットやスーツに、プリントのシャツや “フィレンツェ土産のような” ネクタイをゆるく結んでコーディネート。

来年コラボカプセルコレクションを販売予定の「リー」のフラワージャカードのデニムを合わせたルックも見られた。

また、プリンス オブ ウェールズのオーバーサイズのトレンチやスーツなど、自身のアーカイブピースをアレンジしたアイテムもある。

襟に刺繍が施されたタキシードジャケットや、サイドシームにフラワーモチーフが施されたパンツなどの華やかなディテールは、往年のロックスターを意識したとか。

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

12日には、ゲストデザイナーの「マリーン セル」がフィレンツェ郊外の15世紀の宮殿にてショーを開催。

マリーン・セルはパリの一流メゾンで経験を積んだ後、自身の名を冠したブランドを創業した。2018年よりパリでコレクションを発表している、現在最も注目される若手デザイナーの一人だ。

メンズ・ウイメンズ混合で行われたショーでは、メンズは肩を強調し、ウエストをシェイプしたダブルブレストのスーツやコート、タイドアップなどのクラシックなテーラリングをメインに、赤や紫などの原色を使ったり、コサージュや襟を強調した開襟シャツとコーディネートしたりしてエッジを利かせた。

シグニチャーモチーフである三日月をあしらった光沢レザーは、小物類からトータルルックまで様々に展開されている。

ウイメンズにもメンズスーツ用生地で作ったチューブドレスや、メンズライクなスーツを入れ込みつつビジューのトップス、セカンドスキンなど、センシュアルなアイテムを交えた。

ホームリネンに刺繍を施したり、ロゴ入りのトートバッグを使ったスーツやドレスなど、ブライダルウェアとしても使えそうな白を基調としたシリーズも登場。

また、バックパックを再構成したジャケットや、パッチワークを使用したコートなど、お得意のサステナビリティの要素も盛り込まれていた。

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

13日には、「ピエール ルイ マシア」がゲストデザイナーとしてショーを開催。

イラストレーター、アートディレクターであるピエール=ルイ・マシアによる、スカーフを中心としたファッションアクセサリーブランドだが、今回の「ピッティ・ウオモ」にて初のランウェイショーを発表した。

カンディンスキーらによる芸術運動 “ブラウエ・ライター(青騎士)” からインスパイアされたブルーを出発点に、そこから他の色やモチーフに広げたとか。

ボタニカル、東洋モチーフなど様々なプリントを、鮮やかなものから、グラデーションやかすれたような効果のものまで揃え、さらにビーズやフリンジを加えてひねりを利かせている。

それらをゆったりしたシャツやブルゾン、テーパードパンツやバミューダなどの日常的なアイテムで、時にはレイヤードも交えながら、プリントオンプリントのオンパレードでコーディネートした。

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

「マルニ」にてスペシャルプロジェクトディレクターとして活躍したカロリーナ・カスティリオーニが創業したブランド「プランC」は、今回「ピッティ・ウオモ」にて、メンズのデビューコレクションを発表。

コレクションは見本市の期間中、常設展示だったが、初日にはデザイナー本人も会場を訪れ、メンズコレクションを着用したパフォーマーたちによるコンテンポラリーダンスでのプレゼンテーションが行われた。

既存のウイメンズラインでも、メンズアイテムからリサーチすることが多かったので、今回のメンズコレクションではそれを改めてメンズとして解釈したのだとか。

テクニカル素材によるハンティングジャケットやウインドブレーカーなどは、サイクリング、ハイキングなどスポーツの要素を活かし、ロープなどのディテールが施されている。

また娘のイラストや自分が撮影した写真などアーティスティックなプリントなどが生かされたTシャツやシャツも登場した。

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

ピッティ ウオモ 2025春夏 第三弾

Courtesy of:Pitti Immagine Uomo

取材・文/田中 美貴

大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。

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ファッションレポート(2024年6月)ピッティウオモ特集
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