
ミラノファッションウイーク2026|春夏の最新トレンドを徹底解説 #1
2025年の6月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全9回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
2025年6月20日から23日、「26年春夏ミラノメンズ・ファッションウイーク」が開催された。イタリアファッション協会の発表によると、15のショー(うち5つがデジタル)、44のプレゼンテーション、17のイベント、計81の発表が行われたそうだ。
今シーズンも9月のウイメンズファッションウィーク中にメンズ・ウイメンズ合同ショーを開催するブランドが多く、大手ブランドのショーが少なめだが、元々、モノづくりの国であるイタリアでは、展示会形式で製品をしっかり見せようとする傾向は強い。
そこで、ここでは展示会のレポートを前後編で紹介する。
ブリオーニ(Brioni)
最高峰の素材と職人技で知られる「ブリオーニ」は、カサーティ・スタンパ宮という16世紀の宮殿にて展示会を開催。
アブルッツォ州・ペンネにある「ブリオーニ」のアトリエで働く熟練の職人たちが実際に仕立て作業している様子も披露された。
「ブリオーニ」はこれまでも、“着る人が常に主役であり、服は主張しすぎずにその人の自然な魅力を引き出すべきだ”という考えに基づいて、柔らかさ、軽やかさ、しなやかさ、快適さを重要視してきたが、今シーズンもさらにその部分を追求し、控えめなエレガンスとさりげないノンシャランを提案する。
Courtesy of:Brioni
夏らしく透明感のある軽いアイテムをベージュ、サンド、ライトグリーン、ブルー、ピンクといったナチュラルトーンで展開し、クリムゾンレッドの差し色を加えている。
Courtesy of:Brioni
フォーマルとレジャーウェアを優雅に融合した一枚布の超軽量アンコンジャケット「ソッフィオ」を始め、ダブルスプリッタブル仕立てを用いたシャツジャケット、パーカ、トレンチコートといった軽量アウター、撥水加工がなされたソラーロのアウター、シルク100%のスプリングコート、薄くて軽いスエードのジャケット、リネンのシャツなどで展開される。
今シーズンはスーツとシャツを同色・同素材で合わせたものや、裏地とのさりげないコーディネートなど少しモードテイストを入れ込んだ提案もあった。
ラルディーニ(Lardini)
1978年にマルケ州・フィロットラーノにて創業。1998年より自社ブランドをスタートし、いまや最も重要なメンズブランドの一つとなった「ラルディーニ」。
今シーズンはミラノショールームのビルの中庭にて、ラテン語のnativus(物事の本質から生まれるもの)に由来する「ナティーヴァ(Nativa)」というカプセルコレクションを発表した。
Courtesy of:Lardini
職人技の伝統へのオマージュやブランドのルーツへの回帰から生まれたコレクションで、モダンで洗練されたエレガンスを探求し、本社のあるマルケ州の自然の色や雰囲気を反映する。
カラーパレットは温かみのあるアースカラーやニュートラルカラー、そしてシグニチャーカラーのセージグリーンが使われている。
Courtesy of:Lardini
ウールツイル、コットン、シルク、リネンなど、軽く自然な風合いを感じさせる素材を多用し、構造的でありながらシンプルでリラックス感のあるシルエットで、スーツ、ブレザー、トレンチコート、カーディガン、ツインセット、オーバーシャツ、トラウザーズ、サファリジャケットなどのベーシックアイテムを揃えた。
ラペルに黒いパイピングを施したショールカラーの白いタキシードや、蝶ネクタイやヴィンテージ柄ネクタイが、古き良き時代のシックな雰囲気を添えている。
エトロ(Etro)
1968年、テキスタイルメーカーとして創業し、後にトータルブランドへと成長、現在はイタリアでもっと重要なラグジュアリーブランドの一つである「エトロ」。
最近はウイメンズコレクションの際に合同ショーを行うことが多かったが、今シーズンは本社ショールームにて、展示会形式でメンズコレクションを披露した。
会場では、イタリア人アーティスト、ルカマレオンテがコレクションの象徴的なプリントにペイントを施すライブアートも行われた。
Courtesy of:Etro
コレクションにはアーカイブからのシグネチャーモチーフ、特にエトロのアイコンであるペイズリーがたくさん登場し、リネンやシルク、ジャカードニット、ジャージー、コットンなどの素材を彩る。
Courtesy of:Etro
パウダーピンク、アイスブルー、セージグリーンなどの柔らかで繊細な色使いで上品な雰囲気を醸し出す。
程よいボリューム感のある、リラックスしたシルエットで、トラベルジャケットやブルゾンなどのアウターやサマーニットにトラウザーやバミューダを合わせたカジュアルなコーディネートが多い。
また、テーラードスタイルにもプリントシャツや開襟シャツを合わせたり、多くのルックにはネクタイの代わりにカラフルなスカーフを使うことで、リラックス感が漂っている。
カナーリ(Canali)
完全イタリア製で、テーラリングの伝統と質を守りつつ、カジュアル&スポーティなアイテムにも力を入れている「カナーリ」。
本社のあるモンツァにはF1グランプリレースも行われるサーキットがあることから、今シーズンは1960年代から70年代にかけてのグランツーリスモ・レーシングカーの世界がテーマ。
高級車の内装やレザーシート、または車を扱う人の服からのアイデアで、フォーマルさと実用性を融合させたスタイルを提案する。
Courtesy of:Canali
軽く、シャツのように着やすいスエードトレンチコートやブルゾン、上質生地を使ってしたてられたボイラージャケットやシャツとトラウザー、アイコンであるフレッチャ柄を施したマイクロジャカードのニットポロシャツやクルーネックジャンパーなど、実用的でリラックス感がありながら洗練されたコレクションを展開。
Courtesy of:Canali
ホイールカバーからの連想の編み込みレザートリムで彩られたシャツジャケットやアウターウェア、ドライビンググローブのクロシェ編みが施されたジャンパーなど、レーシングの世界観を反映したアイテムも登場する。
カラーパレットにはライトサンド、クリーム、ブラウン、タン、タバコ、アビエイターブルー、デニムブルーなどを使用した。
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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