
ミラノファッションウィーク2026|SETCHUの春夏トレンドを徹底解説
2025年の6月に開催された、「ピッティ・ウオモ」と「ミラノファッションウィーク」のレポートをシリーズで全9回にわたってご紹介します。
取材は現地在住ライターの田中美貴さんにご協力いただきました。
ビジネスファッションをより楽しんでいただけるような、メンズドレスのトレンド情報をお届けします。
※全シリーズをご覧になりたい方はこちら。
ミラノでは初めてとなるランウェイショーを行った「セッチュウ」。
サヴィル・ロウの「ハンツマン」に始まり、「ガレス・ピュ」、「ジバンシィ」、「イードゥン」、「カニエ・ウェスト」などでキャリアを積んできた日本人デザイナーの桑田悟史が2020年に立ち上げ、2023年にはLVMHプライズ グランプリ受賞を受賞。
今、世界から最も注目されているブランドのひとつである。
前シーズン、「ピッティ・ウオモ」のゲストデザイナーとしてフィレンツェで初のランウェイショーを行い、その際には「最初で最後のショー」と言っていた桑田デザイナーだったが、今回のショーは嬉しいサプライズとなった。
会場は元々は工場だった場所を改装して現在はギャラリーとして使用しているスペース。バックステージは隣の建物にあって、モデルたちは道路を通って建物の外から登場する仕組みだ。
会場の床には前回の「ピッティ・ウオモ」でのショーに続き、デザインのインスピレーション源や洋服の仕組みを表すミニ展示が置かれている。
Courtesy of:SETCHU
東洋と西洋の文化や美意識を“折衷”した世界観がベースとなっている「セッチュウ」だが、今回のコレクションではこのアプローチを、アフリカの生命力に溢れるプリミティブな世界へと広げた。
Courtesy of:SETCHU
インスピレーション源となったのは桑田デザイナーがジンバブエのヴィクトリアフォールを訪れた旅だったとか。
そこで現地の部族とともに椰子を使った編み物の制作に参加したり、自然の中に身を置きながら、釣り人にとって憧れのタイガーフィッシュを釣るという貴重な体験をする中で、服のかたちやサイズにとらわれず、身体に巻きつけるという原初的な所作や、身体そのものに重きを置く服作りへのアイデアが生まれた。
ジッパーやボタンを開けて巻きつけるように着るシャツやTシャツ、スカートのように着用できるほど超ワイドなデニムパンツやカーゴパンツなど、サイズやフォルムを自由に調節できるアイテムが多数登場する。
Courtesy of:SETCHU
ガーメントケースからできたワンピースやストラップがついてバッグのように持ち運べるサファリジャケットやなど、「セッチュウ」お得意の形を変えるアイテムも登場する。
ジム用のボクサーショーツ&ブラといったスポーツの要素やミリタリーやワークに由来するユニフォームの要素も加わる。
そしてアフリカの滝の霧に着想を得た滑らかなドレープが各所に生かされ、椰子の編みを使ったオーバースカートや帽子などがプリミティブなアクセントになっている。
色使いは空の青、大地の茶など自然の色で構成された強めのカラーパレットで、虹をモチーフにしたタータンも登場した。
大学卒業後、雑誌編集者を経てイタリアへ。現在ミラノ在住。ファッションを中心に、デザイン&インテリア、カルチャー、食、旅などの記事を有名紙誌、WEB媒体に寄稿。コレクション取材歴は20年。TV、広告などの撮影コーディネーションや、イタリアにおける日本企業のイベントオーガナイズやPR、カタログ作成や翻訳なども行う。
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